税理士になる人も--働きやすさ重視の弥生カスタマーセンター - (page 3)

吉澤亨史

2016-09-22 07:00

カスタマーサクセスを実現するカスタマーセンター

 弥生では現在、大阪と札幌にカスタマーセンターがある。大阪は弥生の前身であるインテュイット時代である1970年に開設され、5月に淀屋橋に移転した。札幌は2007年7月に開設され、ユーザーコミュニケーションの要と位置づけている。両拠点を合わせて640のブースがあり、これは業界最大規模となる。この2拠点で年間80万件以上の問い合わせに対応している。

問い合わせ対応実績
問い合わせ対応実績

 サポートというと、コスト削減のためにサポート拠点を東南アジアなどに移転させるケースが多い中、弥生ではあくまで人による対応にこだわっている。それができるのは、事業コンシェルジュという弥生のビジョンに部門横断で取り組んでいるためだ。そしてカスタマーサクセスを最大化するために、特に人に関する取り組みを重視している。

 まず、ひとりひとりの戦力向上のために、価値観の共有とスキル習得に注力しているという。入社する人の9割以上がサポート業務の未経験者であるため、約2カ月のトレーニングを経てデビューする。また、習得しなければならないスキルが多いため、製品・業務知識やコミュニケーションスキルの基礎研修、社内勉強会もしばしば行われるほか、多様なキャリアプランに対応する人事制度を採用している。ちなみに札幌では税理士を目指すケースが多く、実際に3人が税理士になったという。

 カスタマーセンターでは、電話、メール、および画面共有による有人サポートを行っている。画面共有は、ユーザーのパソコンを遠隔で共有しながらサポートする仕組み。電話でサポートしながら遠隔共有のためのソフトをインストールし、遠隔操作により操作方法などを説明する。終了後はソフトウェアをアンインストールするが、残しておくユーザーも多いという。

画面共有による有人サポート
画面共有による有人サポート

 大阪のみで実施しているのが、チャットによるサポートだ。チャットのメリットは、一度に複数のユーザーを相手にできることと、FAQなどのURLをそのまま送れることなどがある。基本的にチャットサポートのスタッフは3つの画面を駆使する。右側がチャットの画面、中央がユーザー情報などを確認するセールスフォースの画面、左側がソフトの操作を確認する画面となる。

チャットサポートの様子
チャットサポートの様子

 大阪のカスタマーセンターは、働きやすさを重視した造りとなっている。特に、コミュニケーション、ON/OFF、可動性を重視したコンセプトだという。現在、2フロアを使用しており、そのうちの1フロアをサポート用に割り当てている。窓ガラスが大きく、非常に明るい印象を受けるフロアはデスクが整然と並べられているが、ここに3種類のオープンスペースが用意されている。

 1つは、フロアを横断する大きな2つのスペースがある。ここは「ワヨイノカワ」と呼ばれ、数種類のデスクとチェア、それに大きな観葉植物が置かれている。もう1つは、窓側に並ぶデスクとチェアで、「ワイワイガヤガヤ」と呼ばれ簡単なミーティングなどが行われる。3つ目は、フロアの両端にある「ヒッソリコッソリ」スペースで、面談などが行えるようになっている。

「ヤヨイノカワ」
「ヤヨイノカワ」

 もう1つのフロアには、広いリフレッシュエリアが用意されている。コーヒーサーバーや自動販売機があり、昼にはお弁当を売りに来るという。居酒屋のような小上がりのスペースもあり、喫煙所もある。ここの窓も大きくて眺めも良く、夕暮れの風景が特に綺麗だという。ひとりで、あるいは数人でリフレッシュできるスペースとなっている。床には理想的な歩幅の足跡が描かれていたり、壁にはリフレッシュ体操のイラストがあるなど、人を重視する弥生ならではのオフィスという印象であった。

リフレッシュエリア
リフレッシュエリア

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