杉井氏:ただ機能面で分けたときに、「銀行内の勘定データはプライベートで持ちたい」というのはあると思います。
朝山氏:あります。いくら安全であろうとも、データ自体を外に触れられたくないということですね。
杉井氏:しかしブロックチェーンの特性を生かしたいという用途はたしかにあるので、そこはプライベート中のプライベートになる。
平野氏:運用やポリシーの問題ですよね。
朝山氏:例えばパブリック型で機能を変えたり追加したりするときは、普通のかたちのブロックチェーンだと半数以上のユーザーに同意をもらい、仕様を変えてもらわないといけない。プライベート型であれば勝手にバージョンアップできる。
杉井氏:コンソーシアムだったら理事会とか開いて、合意が得られたら「何月何日何時からこういうふうに変えます」といったらそれがプロトコルになる。
川村篤史(日本IBM コグニティブ・インダストリーソリューション事業部 決済ソリューション担当部長)
朝山氏:ただパブリック神話は、6月に仮想通貨のイーサリアム(Ethereum)が分裂してしまったので崩れましたね。「資産2倍に増えた」と喜んでいる人もいましたが。実質では理解が変わってきている。そろそろ、どっちが良いかという話に意味はなくなっています。使い分けですね。
川村氏:お客様の目からみると、パブリック/コンソーシアムというよりも、やはりパーミッション/パーミッションレスか。そのあたりを気にされているのだと非常に思います。
杉井氏:そうですね。パーミッションドであることは悪いことだと全然思わないです。ですが、パーミッションドのものを使う人がどのくらいの規模なのか、が重要だと思っています。最終的にどれくらいの規模にしたいのかというところで、パーミッションドが選ばれるのなら良いと思います。そのスケールの度合いが1000くらいならいいですが、10以内に収まってしまうのなら中央にサーバを1つ持ったほうが安くていいんじゃないですか。「どうせルールも自分たちで決めるんでしょう」という話ですが、これが100社、200社、3000社……となってくると誰かの意見が通るという話ではなくなってきます。そういうところではパーミッションドはすごく有効です。それはほとんどパブリックと一緒です。
そういう状態のところに、小さいグループが「自分たちでやった取引は小さいけれど正しいんだ」と証明するために、ビットコインとかのパブリックチェーンを借りてトラストアンカーする。そうした自分たちのやっていることが、パブリック側にも証跡が残っている状態のパーミッションドはありだなと思っています。