「オラクルが言うライバルは和訳すると“好敵手”。好敵手が現れたほうが、われわれもさらに技術を磨こうと身が一層引き締まる。AWSをライバル視するのはそうした意味合いもある。クラウドサービスが本格的に普及するのはまさにこれからだ。好敵手と切磋琢磨しながら、市場を切り開いていきたい」
データベース分野で高いシェアを獲得しているオラクルの余裕とも聞こえるが、敵を知って自らを引き締めるのもビジネスの鉄則。“杉原流”の危機感の表し方といえよう。
「製造業の試作力を競争力につなげたい」 (米Proto Labs Vicki Holt 社長兼CEO)

米Proto LabsのVicki Holt 社長兼CEO
カスタムパーツのオンデマンド受託製造サービスを手掛ける米Proto Labsの日本法人であるプロトラブズが先ごろ、米国本社のVicki Holt(ヴィッキー・ホルト)社長兼CEOの来日を機に、事業戦略について記者説明会を開いた。Holt氏の冒頭の発言はその会見で、同社のミッションについて語ったものである。
Proto Labsが手掛けるサービスの最大の特徴は、製造業の開発工程における試作品の製造プロセスに独自の「デジタルマニュファクチャリングシステム」を融合させることにある。これにより、射出成形や切削加工によるカスタムパーツの製造から小ロット生産まで最短1日という短納期を実現している。しかもコストについても従来の試作品の製造と比べて半額以下という。
具体的には、顧客企業からネットを通じて3次元(3D)CADのデータを取り込み、その内容の解析により見積りを提示し、正式な発注を受けて試作品となるカスタムパーツを提供する仕組みである。顧客企業からは品質の高さについても確固たる評価を得ているという。
そうした短納期で低コスト、高品質を実現している最大の要因は、独自のデジタルマニュファクチャリングシステムにある。図に示したのがその概要で、CADデータを入手した後は「すべての工程における作業を自動化している」(Holt氏)のがミソだ。同氏の冒頭の発言は、顧客企業のCADデータを基にした「試作力」を、Proto Labsの仕組みによって「競争力」につなげるように支援したいという意味である。

Proto Labsの「デジタルマニュファクチャリングシステム」の概要
1999年に米国ミネソタ州で設立されたProto Labsは、2010年にニューヨーク証券取引所に上場。現在、世界8カ所に事業拠点を設けてサービスを展開しており、2016年の売上高は2億6000万ドルの見込みだ。日本では2009年に日本法人を設立し、現在は神奈川県座間市に製造拠点を設けている。
Holt氏は会見で、日本での事業強化に向けてこのほど約7億円を投じ、製造拠点の拡張や人員体制の増強などを図ることを明らかにした。日本でも既に2200社の顧客を保持しており、今後ますます存在感が高まりそうだ。それにしても「試作力を競争力に」とは、なかなか印象的な表現である。