DellとEMCの両社長が語る--日本における優位性

末岡洋子 2016年11月04日 13時08分

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 EMCを飲み込んだDell Technologiesが10月中旬、「Dell EMC World 2016」を開催した。買収完了から1カ月でのイベントでDell EMCは、さっそく2社の技術を統合したハイパーコンバージドシステムを発表するなど、成果をアピールした。同イベントではそれぞれの日本法人トップが、買収完了後初めて2人そろって取材に応じた。新会社の優位性や日本市場での位置付けなどについて語っている。

 買収する側となるデルの平手智行氏が主導する形で、平手氏とEMCジャパンの代表取締役社長の大塚俊彦氏による説明会は開かれた。

デルの平手智行氏
デルの平手智行氏

 平手氏はまず、「DellとEMCは完全に1つになる。どちらかに片寄せということではなく、Dellの持つ強みとEMCの持つ強みを合わせてさらに伸ばしていく。これを実現する統合だ」と言い切った。

 クラウド時代に入ってハードウェアベンダーの立ち位置が変わる中、「Dell Technologiesはお客様がデジタルの未来を築く、IT環境を変革する、最重要資産である情報を守るといったことを実現するのを手伝うファミリ企業になった」と平手氏。大塚氏も基調講演でのMichael Dell氏の言葉を引用し、「ITインフラに不可欠な会社」とした。

 両社長はこの1年の取り組みを簡単にまとめた。

 Dellの平手氏は、「顧客満足度、支援のためのサポート体制、それに付随するプロセスを徹底的に改革した」とし、社内の定点観測で評価が5倍になったと胸を張った。数字としては、2016年第2四半期、クライアント(PC)事業全体で3.3ポイントシェアが増え、コンシューマーPCでは5.6ポイントも増やした。サーバーも1.2ポイントの増加で、「一人勝ちに近い状態といっていい」とした。

EMCの大塚氏
EMCの大塚氏

 EMCの大塚氏は、1)付加価値のための営業の強化、2)パートナーなどエコシステムの強化、3)オールフラッシュ時代に向けた戦略的製品の投入、4)ライフサイクルアプローチ、5)働きがいのある会社、の5つに取り組んできたという。数字も悪くない。外付けストレージ市場シェアは2位、オールフラッシュの成長率は450%、NSA市場も1位という。2)では新規に100社のパートナーを増やし、クラウドコネクションとしてEMC製品を再販するパートナーにクラウドパートナーのソリューションや製品の販売も行ってもらっているという。

 そのような2社が合体することになるが、具体的なことはこれからだという。顧客向けの継続性、サポート体制については、エンタープライズのDell EMC、クライアント(PC)のDell、サービスと大きく3つに分類、Go To Marketも大手(エンタープライズ)、中堅(コマーシャル)、中堅からコンシューマーの3つに、2社の組織を整理している。

 方向性としては、SoE(System of Engagement)やSoI(System of Information)をキーワードに、新しい成長につながる変革をしていく。「これまではSoR(System of Record)として、基幹システムをしっかり運用して効率性を高めることにフォーカスしてきた。今後はビジネスが中心になる」と大塚氏は説明、Dell TechnologiesではSoRで効率を高めつつ、SoEとSoIでトランスフォーメーションの手伝いをする。これを「”これまで”と”これから”の両立」とした。

図1
図1

 それを支える製品ポートフォリオとしては、図1のように、インフラではクライアントからデータセンターまでをそろえ、その上にサーバ仮想化ソフトウェアや自動化・管理ツールを提供するVMwareが重なる。そして、「デジタル改革」を支援するPaaSとデータ管理のVirtustreamとPivotalが加わる。これらをRSA、SecureWorksなどのセキュリティ技術が固める格好だ。

図2 Dell Technologiesの分野別製品分布
図2 Dell Technologiesの分野別製品分布

 「トラディショナルとクラウドネイティブ、両面で手伝う。それぞれアーキテクチャは異なり、方法論、人材、組織も違うアプローチで行う必要がある」と大塚氏、「幅広い製品群とグローバルの顧客から経験した知見や経験からお手伝いしていく」と続けた。

ファミリーという言葉が示すもの

 特筆すべき点として、EMC時代、VMwareなどの事業は「フェデレーション」といわれていたが、Dell Technologiesは「ファミリー」という言葉を選択的に使っている。「VMware、Pivotalなどが独立性、中立性を維持しながら、ファミリーの中にあるという位置付けは、われわれ今までも、これからもオープンであり続けるという証」と平手氏は説明する。仮想化ならVMwareだけでなくMicrosoftも選択でき、クラウドも然りだ。「これからはマルチクラウドの時代。選択肢がありベンダーロックインがないのは大きなポイントとなる。オープンはDellの根本的理念だ」(平手氏)。

 Dell EMC WorldではDellのサーバであるPowerEdgeをEMCのハイパーコンバージドインフラに組み合わせた製品が登場したが、今後のコンバージドインフラについて大塚氏は全てPowerEdgeになることはないとする。「vBlockはCiscoとの提携を継続し、(HCIの)XCはNutanixも継続」とし、一方で、バックアップのData Domain、Data DomainのVirtual EditionでPowerEdgeをサーバーとしてサポートする。「技術の組み合わせにこだわるのではなく、豊富な選択肢を提供する」と基本方針を説明した。

 それぞれ「顧客からの期待値が上がっている」と平手氏、大塚氏は口をそろえるが、シナジーが出てくるところはどこなのか? 平手氏は、ハイパー/コンバージドインフラ分野とEMCのVirtustream、Pivotal、RSAとDellのSecureWorksの組み合わせなどを挙げ、「提案価値の観点でメリットが出る」とした。「ビジネスのスピードが加速しており、最善のパフォーマンスチューニングがされた状態で活用でき、クラウドはハイウリッドで担保でき、スケールアウトができる――これは日本全体の競争力に必要」とDell Technologiesの優位性を強調した。

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