販売や配備、サポートといったさまざまなモデルをまとめ、すぐに使える資産を提供するという分野において、WiproはAppirioを買収したことで、あっという間に独走状態になったと言える。
それだけではない。Wiproはこの買収によって他の重要な資産も手に入れている。Appirioは、クラウドソーシングプラットフォーム分野のリーダー的存在であるTopcoderと、そのライバルであるCloudSpokesの両社を所有していたのだ。MintやThe Economic Timesが解説しているように、自らが調達、あるいは構築しようとしている技術によって競争力を高めようとする企業は、市販の製品を使用するだけでは満足しない。こういった企業は、業務分野における最高かつ最も聡明(そうめい)な人材を集めてくるのではなく、問題解決に向けたより良い場を作り上げ、統合する道を模索するはずだ。
Topcoderはこういった人材をおよそ100万人抱えているとされており、米航空宇宙局(NASA)からハーバード大学、そしてケーブル界の巨人Comcastに至るまでの顧客を引き付けている。さまざまな難問を解決する能力があれば、コードによる知的財産上の懸念が引き起こされることもない。ただThe Economic Timesの記事が指摘しているように、収入増を目的として内職でプログラミングに携わるITプロフェッショナルが増加しているため、TCSの人材がTopcoder上で、国境を越えたクライアントのためにWiproの問題を解決するという皮肉な状況も発生し得るだろう。
生産性と自動化
次に自動化の話がある。自動化はWiproがリーダーに立とうと力を注いでいる分野だ。同社は18カ月前にAIプラットフォームである「Wipro HOLMES」を発表しており、低コストの労働力に対する依存度を低減する成果を既にもたらしている。「ハイパーオートメーション」という言葉を好んで使用するCEOのNeemuchwala氏は、現在遂行中の2万のプロジェクトのなかから、エンジニアを必要としないタスクを早急に洗い出すよう指示している。Mintは同社の匿名筋からの情報として、こういった作業のうちの少なくとも1万は同社の会計年度が終わるまでに完了するだろうと述べている。