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人工知能とアートの関係--なぜIT企業がデザイン会社を買うのか(後編) - (page 2)

増村岳史

2016-12-18 07:00

エンジニアから転身した偉大なアーティスト“サイ・トゥオンブリー”

 東京藝大の現役合格者が中高で数学が得意であった事実を示した。今度は、ご存知の20世紀を代表するポップアートの巨匠、アンディウォーホルと並び称されるほどの偉大なアーティスト、サイ・トゥオンブリー(1928~2011年)を紹介したい。

 サイ・トゥオンブリーは元々、米陸軍で暗号解読に携わっていたエンジニアであった。彼は世界で初めて部屋を真っ暗にして絵を描いていたアーティストであった。部屋を真っ暗にして絵を描いていたのであるから当たり前ではあるがまっとうな絵は描けるよしもない。

 彼の絵を見た多くの人は子供が描いた落書きにしか見えないのだが、その絵にはアルファベットがランダムに書き込まれているのだ。2015年、彼の落書きのような絵が世界的なオークション大手のサザビーズにて87億円で落札されたのである。

 サイ・トゥオンブリーの絵が高価な価格で落札された理由、それは世の中で新たな価値を作ったからだ。つまり部屋を真っ暗にして絵を描く行為が今までの対象を見て描くという概念を壊したことに貨幣的な価値が付いたのだ。

 これは、ウォーホールが大量消費社会という社会背景をアートに投影し、世の中で初めて製作をファクトリー化し、かつモチーフを缶スープやモンローなど今まではアートと最も遠いと思われていたものに目をつけ、新たな価値創造となったことに近い。

 私が思うところサイ・トゥオンブリーにとって絵を描くということは、自分の意思で決して描き上げるものではなく、暗号電波のように天から舞い降りてきた何かを受信し、それをキャンバスに記録として残していたのかもしれない。そのために、一切の主観が入らない真っ暗なアトリエが必要であったのであろう。

 サイ・トゥオンブリーの他にも理系出身のアーティストは意外に多い。

 例えばボストン、東京を拠点に活動する若手女流アーティスト、スプツニ子!(本名:尾崎マリサ)はロンドン大学インペリアルカレッジで数学科、および情報工学科を卒業したのちにイギリスのロイヤルカレッジオブアートで修士課程を修了後にアーティストとして活躍。MITメディアラボにて助教も務めている。

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