研究現場から見たAI

人工知能は職を奪わない--AIは「空気がよめない」

松田雄馬 2016年12月26日 07時00分

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人工知能は仕事を奪うのか

 英オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授が「未来の雇用」という論文を発表して以来、「人工知能によって職業がなくなってしまう」というような論調がメディアを席巻している。

 確かに、前回紹介した「人工知能」すなわち「弱い人工知能」は、「人間の知能の代わりの一部を行う機械」すなわち「道具」であるため、現在、われわれが担っている「作業」のうち、「弱い人工知能」によって「自動化」できるものは少なくない

 ただ、ここで気をつけていただきたいのは、「弱い人工知能」が人間に取って代わるのは、「作業」であって、「職業」そのものではないということである。


 オズボーン博士は論文「未来の雇用」の中で、「自動化」される確率に基づいて、各職業をランキングしている。このランキングによると、最も自動化される確率が低いものが「リラクゼーション・セラピスト」(0.28%)であり、逆に、最も自動化される確率が高いものが「テレマーケター(電話による商品販売員)」(99%)だという。すなわち、テレマーケターの「作業」は、その99%が置き換え可能ということである。

 繰り返し強調したい事柄だが、これは、決して、「テレマーケターが職を失う確率が99%」であるということではない。「テレマーケターは、その作業を99%の確率で自動化でき、効率的に業務を行うことが可能そうである」ということを意味すると考えるのが、妥当な解釈ではないかと考えられる。

 現在、自分の判断だけで動くことができる「強い人工知能」は存在しない。その一方で、われわれが利用可能な「弱い人工知能」は、あくまで、人間が使う「道具」である。

 「強い人工知能」が存在しない以上、所謂「道具」である「弱い人工知能」は、「一人歩き」することができないということは当然のことである。従って、人間が行っているどんな仕事(職業)であっても、「弱い人工知能だけでそれを行う」ことは不可能なのである。

 人間は、意識する、しないに関わらず、さまざまな仕事を、自分の判断で担うことができる。われわれ人間にとっては、まるで「頭」を使わない「作業」に見えるようなものも、「機械」にやらせようとすると、意外な難しさがつきまとうことが少なくないのである。

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