評価とキャリアについて
データサイエンティストの評価の基準としては、データサイエンティスト協会の提唱するスキルマップをベースに検討するのが良いでしょう。
しかし、これらのマッピングは非常に抽象的であり、一般的な企業内における人事評価に落とし込みづらいのが現状であると言えます。そのため、各ビジネスドメインにおけるKPIやKGIにどの程度影響度を与えられる分析貢献ができたかで評価することが望ましい運用となります。しかし、現状ではまだまだデータサイエンスを担う人材が少なく、担っている人材が主に現場の担当者であることから、評価制度の充実はまだまだこれからであると言えるのではないでしょうか。
また、データサイエンティストのキャリアとして、上記スキルマップの3つの円の中心のスキルマップを持つ人材となるべきだという主張がよく聞かれます。保有スキルとしては何も異論はありませんが、真ん中のスキルセットを持つ人材を抱えている場合、その人材の生産性がボトルネックになってしまう懸念があります。そのため、本稿で指摘したように分析者は周りのメンバーになるべく知見の共有、交換をし、業務の負荷分散を図ることが望ましいのです。
まだまだ新たな職種であるデータ分析者は企業内でも少数派で孤立するケースが多く、そのような人々が社外で共通の悩みを相談し合うMeetupなども最近は開催されています。もし、自分がこのような業務を担当していて、社内に相談できる相手がいないという悩みがあれば、積極的に社外に仲間を求めるのも良いでしょう。
筆者もこれからのデータ分析やデータ活用をより推進していくべく、努力していきたいと思っています。
- 伊藤徹郎
- インターネット金融グループを経て、データ分析企業でデータアナリストとしてさまざまな業種の企業を支援。その後、大手レシピサイトでデータ分析やディレクター業務などを経て、現在はFinTech企業でデータ分析やサービス開発などに従事。RとSQLをよく書いている。