「作らない社内システム」

「作らない社内システム」が生んだ成果--働き方の変化と経営へのインパクト

大石 良 2017年02月13日 07時00分

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 ここまで初回のイントロダクションから、実際に当社が取り組んでいる「作らないIT」の一部についてお話してきました。

 最終回はこうした「作らない社内システム」を徹底してきた結果、当社に起こった変化と、実際にこれらをどのように運用しているのか、また経営にどのようなインパクトがあったのかをお伝えしたいと思います。

振り返り

 連載第1回では「作らないIT」が必要とされる背景、つまり「少子高齢化によって人口、特に生産人口の急減が確実ななか、人手に頼るビジネスは今後成立しない」という所与の条件について再確認し、これからは「つくるべきものは何か」を明らかにし、つくらずにすむものを「クラウドの組み合わせで実現しよう」というお話をしてきました。

 われわれは、社内のシステムについては手作りを廃し全てクラウド化する「作らない社内システム」を実践することで、さまざまな恩恵を受けることができています。こうしたメリットを「ファシリティ」「はたらきかた」「経営」という3つの側面から確認してみたいと思います。

ファシリティの変化

社内サーバゼロ

 当然ですが「作らずに、使う」ことを徹底した結果、社内のサーバがゼロになりました。2012年にこのチャレンジをしたときには、どうしてもActive Directory ドメインコントローラとIP電話サーバの2台だけが残ってしまったのですが、全社はAWS+Onelogin、後者はキャリアのIP電話サービスを利用することによって物理サーバの全廃に成功しました。


 サーバ、ラック、冷房といったものに費やしていたスペースやコストを人間のために割り当てることができていますので、この点でも「クラウドによって人間が人間らしくはたらく環境の整備が進んだ」と実感することができています。

セキュリティ投資の減少

 オンプレミスで運用していた頃は、統合脅威管理(UTM)装置のサポート契約を結んだり、社内のサーバ群には防犯装置付きのラックを導入したりと、物理的な環境を安全に保つための投資と、論理的に保護するための投資と、2種類の投資を自社で行っていく必要がありました。

 社内のシステムをクラウドにオフロードすることによって、(1)物理的なセキュリティはクラウド事業者が自身の責任で担保し、(2)論理的な保護も、一部はクラウド事業者が担うことで利用者がその恩恵を受けることができる、ことによって、セキュリティ投資を抑制できています。

 前者はAWSの責任共有モデルが参考になりますが、物理層はクラウド事業者側の責任で守るという話。後者はIaaSかSssSかによりますが、例えばクラウド型グループウェア「G Suite」を使っている場合、通常ユーザーが負担するアンチスパムなどに投資することなく事業者側で防御してくれるといったように、「事業者が投じているセキュリティ対策の恩恵に(利用者が)浴することができる」という点は大きなメリットだと考えられます。

データ統合

 全てのデータ資産をクラウド上に展開することで、データの統合が容易になりました。オンプレミス環境でデータ統合をやろうとすると、まず拠点のデータを本社に転送し、かつクラウド上のデータを本社に転送して、そこでデータを統合、マスターDBを作ったりレポートを作成したりするといった「データの流れ」と「伝送経路」について気を配る必要がありました。フルクラウドの場合は自分たちが決めたクラウド上のデータレイクにデータを置いて、それを料理するだけで済みます。

 実際当社では、Salesforceやクラウドワークフロー(Questetra BPM)などのデータを、クラウドETL(抽出、変換、ロード)を使って加工し請求書などのドキュメントを作ったり、レポートのためにはクラウドBIで統合して閲覧する、ということをやっています。全てのデータがクラウド上にあるため、拠点などの地理的な制約にとらわれることがなく、あるべきデータを1カ所に統合することが容易に実現できるようになっています。

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