次世代ITに呼応する宇宙ビジネス

衛星100基のデータをAIで分析--"宇宙のドローン"が導くバリューチェーンとは

佐藤将史 2017年03月17日 07時00分

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 本連載では、これまで宇宙産業の全体、衛星関連ビジネスの全体、といったマクロな産業像をお伝えしてきたが、今回は、カメラやセンサなどを使い、遠隔から画像を撮影する技術である「リモートセンシング」分野の画像活用ビジネスについて、次世代ITとの関わりを詳細に説明していく。

主役となり得る衛星リモートセンシング産業

 前回示した通り、現在の宇宙ビジネスの市場規模の約3分の2は衛星データ利活用によるものだが、現時点でその主流を占めるのは、衛星通信・放送分野である。


図1 世界で運用中の衛星の内訳(出所)2016 State of the Satellite Industry Report (SIA)

 衛星放送の普及が進んだ欧米では、衛星業界のキーマンが、「(アメフトやサッカーなど)スポーツ中継が衛星ビジネスを支えてきた」と述べることもあるほど、歴史的には、衛星ビジネス=通信・放送(特に放送)という図式が成り立ってきた。

 しかし、昨今の小型衛星の普及に伴い、この図式が変わりつつある。これまでは「高価で使い難い」「画像が欲しいときに入手できない(上空にいない)」と言われがちであったリモートセンシング衛星が、低コストやリアルタイム性を高め、例えるならば「宇宙空間のドローン」と言えるほどの利便性が実現できる可能性が見えてきた。

 現状、宇宙産業の市場規模という点では、まだ数字としてその勢いは現れてはいない。しかし、ベンチャー企業を中心に、衛星リモセンビジネスの勢いは拡大を続けている。筆者が2015年度の複数の宇宙ベンチャー関連カンファレンスの登壇者・出展者のデータを整理したところ、さまざまな宇宙ビジネス事業者が入り混じる中、実に約40%が衛星リモセン関連であった。

 また、この分野のトップランナーのひとつと目される、サンフランシスコに拠点を置くPlanet(旧Planet Labs)は、競合であるRapidEyeやGoogle傘下だったTerra Bella(旧Skybox)を買収し、100機を超える衛星コンステレーション(衛星を複数打ち上げ1つのシステムとして運用する衛星群計画)を推進するなど、広く注目を集めている。

 日本では、通信やメディア事業者が通信・放送衛星を保有し運用している例はあっても、民間事業者がリモセン衛星を保有・運用する例は、これまでなかった。ベンチャー企業のアクセルスペースや、キヤノングループのキヤノン電子が小型衛星の製造、打ち上げ計画を公表しており、この分野の業界構造が大きく変わっていくことが期待されている。

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