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空間データが変える未来

国境を超えた地球規模のインフラ--2020年への衛星測位を考える

高橋睦(野村総合研究所)

2014-06-18 07:30

進む世界の衛星測位環境整備

 私たちが普段利用しているGPSは、Global Positioning Systemという米国の衛星測位システムのことを指す。日本は24時間利用可能な衛星測位システムを持たないため、米国が運用するGPSを利用している。

 位置を測位するには、最低4機の測位衛星の信号を受信できる必要があるが、米国は全地球をカバーするために2月24日時点で31機のGPS衛星を運用し、最低24機のGPS衛星のコンステレーション(人工衛星の一群やシステム)によって地球上ほぼすべてのエリアでサービスを提供している。GPSはもともと軍用に整備されたものだが、1990年代に民間に開放されたことにより、受信機などの技術開発が進み、位置情報関連のサービスが爆発的に普及した。GPSは、位置測位、ナビゲーション、時刻参照の3つのサービスを提供している。

 衛星測位システムを保有しているのは、米国だけではない。ロシア、中国、欧州が全地球規模のシステムを運用または構築中である。

 ロシアは「GLONASS」というシステムを2011年からサービス運用しており、この6月2日現在、計29機、最低24機のコンステレーションで稼働している。また、中国は2012年に「北斗」によるサービスをアジア太平洋地域で開始しており、2020年頃に全地球をカバーする予定である。欧州は、「Galileo」と呼ばれる衛星測位システムを構築中で、2014年中頃には一部サービス開始、2019年までに30機による全地球でのサービスを開始する予定だ。そのほか、インドが自国周辺に地域を限定した独自の衛星測位システムを構築する計画となる。

 日本は、単独測位が可能な衛星測位システムではなく、GPSなど他の衛星測位システムを補完・補強する準天頂衛星システムを構築中であり、2018年度からサービスを開始するとしている。

 これらを合算すると、2020年には各国が運用する測位衛星の数が130機以上になる。加えて、米国は2016年からGPSの次世代機「GPSIII」を打ち上げる予定であり、GPSの精度向上が期待されている。

 衛星測位システムは、国により仕様が異なるためそのまま全てを利用できるわけではないが、複数の衛星測位システムを利用する技術開発が進んでいる。すでにiPhoneやXperiaなどのスマートフォンの多くがGPSとGLONASSをサポートしている。iPhoneはiPhone 4SからGLONASS対応になったが、iPhone 4と比べて測位誤差が小さくなったとの報告が出ている。GPSのみに比べて約2倍の約50機の測位衛星を利用することができるようになったことで、より精度の高い測位が可能となったと考えられる。

 さらに、昨年末には、大手メーカーのQualcommとBroadcomが相次いで北斗対応の「全地球型測位システム」向け測位チップを発表している。全地球を測位対象としてカバーするシステムを全地球型測位システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)というが、さらに複数の衛星測位システムを統合的に利用することを「マルチGNSS」という。

 2013年の調査で、マルチGNSS対応の受信機のモデル数は、GPS対応が100%に対してGLONASS対応のものが40%強、Galileo対応のものが30%強、北斗対応のものが約20%との結果が出ている。今後、マルチGNSS対応の測位チップやスマートフォンなどの受信機の開発が進むことが想定され、世界中の測位環境はさらに向上すると考えられる。


衛星測位システムの種類(2011年7月27日 経済産業省 準天頂衛星を利用した新産業創出研究会 資料1)

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