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衛星100基のデータをAIで分析--"宇宙のドローン"が導くバリューチェーンとは - (page 3)

佐藤将史

2017-03-17 07:00

 SPACETIDE 2017のパネル1「日本の宇宙ベンチャーの拡大と将来」では、筆者がモデレーターを務め、衛星リモセン分野から、小型衛星の製造、運用を手がけるアクセルスペースの中村友哉CEO、リモセンデータ解析の技術開発を担うスペースシフトの金本成生CEOが登壇した(その他に、人工流れ星事業を展開するALE(エール)の岡島礼奈CEO、宇宙旅行用の宇宙機開発を推進するPDエアロスペースの緒川修治CEOが登壇)。

 このパネル1では、「日常のビジネスによる宇宙利用が重要」という意見がディスカッションの冒頭で各人から出ており、これが宇宙ベンチャー各社の共通見解であることが示された。

 中村氏は、小型衛星50機によるコンステレーション計画AxelGlobeについて説明した上で、既に自社が展開しているウェザーニューズや三井不動産などを対象としたデータビジネスに言及、「衛星はあくまでインフラのひとつ。宇宙産業を“宇宙”という場所でくくるのではなく、地上のさまざまな業界で使われることを意識してやっていかないといけない」と説いた。同社は、グローバルにビジネスを展開していく重要性にも触れ、外国人社員の雇用について「日に一通のペースで求人の問い合わせがあり、その80%が外国から」という逸話も紹介した。

 金本氏は、最も一般的な光学リモセン画像ではなく、レーダー画像を取り扱う解析事業について説明し「レーダー画像は、雲のある所や夜間でも地上の様子が分かるので、普通の光学衛星では見えなかったものが見えてくる」と、自社ビジネスの特異性を挙げた。

 スペースシフトは自社では衛星を所有しない“衛星を持たない衛星ベンチャー”であり、また、金本氏はパネル1の登壇者の中で唯一、学生時代や起業前のバックグラウンドが宇宙系ではないことが特徴である。この点について、金本氏は「宇宙業界の慣習に縛られず、新しいことにトライできる。IT業界出身だったことが、むしろプラスに働いている」と話した。

 この2社に共通していることは、AIやビッグデータ技術を活用した、ユーザー産業向けのデータ解析及びソリューションビジネスを志向している点である。AIによって、膨大なリモセン画像のビッグデータの中から、必要な情報を抽出し解析するプロセスを自動化できるため、両社はAI活用を重視する。例えば、石油タンクを画像判定し、影の長さと日照データから、タンクの高さ情報を推計するアルゴリズムを自動化できれば、ある国の石油備蓄量のモニタリングが可能になる。AIによって、衛星リモセンデータが、原油価格を左右するほどの重要性を持つことになる例である。

 両社はそれぞれ、国立研究開発法人産業技術総合研究所のAI研究チームと連携して、リモセン画像の解析サービスの高度化を検討している。このパネルでも、一社だけではバリューチェーンを構築することは難しく、エンドユーザーへサービスを届けるためにさまざまな主体と協力することが重要、という議論が交わされた。


(図4 パネル1の登壇者。左から筆者、岡島氏、緒川氏、金本氏、中村氏)

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