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衛星100基のデータをAIで分析--"宇宙のドローン"が導くバリューチェーンとは - (page 4)

佐藤将史

2017-03-17 07:00

エンドユーザーの業界に入り込んでいく衛星ビジネス

 続いてパネル2「イネーブラーとしての宇宙」には、養殖を中心とした水産業向けのデータサービスを展開するウミトロンの藤原謙CEOが登壇した(モデレーターはグローバル・ブレイン青木英剛氏、パネリストは他に電通宇宙ラボの小田健児氏、マゼランシステムズジャパンの小西覚氏、ペプチドリームの桝屋圭一氏)。“イネーブラー”とは、何かを実現するための鍵となる人や機能を指す言葉だが、このパネルでは、「宇宙×●●」をテーマに、他産業の立場から、宇宙利用のあり方について議論がなされた。


(図5 パネル2の登壇者。左から青木氏、小田氏、桝屋氏、小西氏、藤原氏)

 藤原氏は「今から3年後くらいは小型衛星のネットワークができているだろう」と、現在も続く世界的なコンステレーション計画が、数年後には実運用の段階に来ると予想、これにより衛星リモセン画像のコストが下がり、より一般的なツールになると示唆した。

 藤原氏はまた、「地球観測のデータが溜まり、地球の環境を解析することでより収益性を左右するような産業との掛け算が重要」と説き、エネルギーや物流分野、自社が関わる水産業などを、衛星インフラ整備の影響を受ける分野として紹介した。

 ウミトロンは、海洋環境データと魚の生育データをモニタリングし、総合的にデータを分析することで、養殖事業者に対して餌付けのタイミングと餌の量の最適化のガイドラインを提供するサービスを展開している。

 同社のサービスの中で、衛星リモセン画像はユーザーに提供する情報の中のあくまで一部分であり、本質的な価値はその他のデータ(魚の生育状況など、地上系のセンサなどから得られたデータ)を交えた統合データ解析にこそある。その点で、同社はユーザーの業界に入り込んだ、新しいリモセン活用ビジネスのあり方を示していると、筆者は見ている。

バリューチェーン構築のために模索される連携の形

 SPACETIDE 2017に登壇した3社だけでも、アクセルスペースはバリューチェーンの上流(左)に軸足を置きつつ、下流(右)への展開を追い、スペースシフトは解析というアプローチでバリューチェーンの中央、ウミトロンはエンドユーザーに近い下流(右)をそれぞれ深掘りしており、立ち位置はさまざまである。

 今後、この分野では、他産業を含めさまざまな企業や主体の連携が進むと筆者は予想するが、具体的な連携の形としてどのようなものが出てくるのかが、楽しみである。

佐藤将史 株式会社野村総合研究所 上級コンサルタント
宇宙業界やベンチャー振興を軸に、科学技術・イノベーション関連の政府・企業をクライアントとしたコンサルティング事業に従事。政策立案からビジネス戦略まで幅広く行う。東京大学理学部卒(2001年)・同大学院理学系研究科修了(2003年、惑星科学)、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)MPP(公共政策修士・2013年)。総務省「宇宙xICTに関する懇談会」構成員。社団法人SPACETIDE理事。

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