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Fintechの正体

「APIはポスト現金社会のATM」--銀行法改正の先にある世界観 - (page 2)

瀧 俊雄

2017-03-27 07:00

 銀行法改正や更新系APIの話に関連する話として、今マネーフォワードがやっているウェブスクレイピングで十分ではないかという意見をいただくこともあります。しかし、われわれは「IDとパスワードを預からなくて済むような世界を早く構築したい」ということです。マネーフォワードは、ユーザーのデータをセキュアな環境でお預かりし、それを丁寧に見せることで、ユーザーの不安をなくすという事業を展開している会社です。

 セキュリティに関しては経営課題として最重要視し、そのあり方を常にアップデートしていますが、新しいものができたらやり方を変えたいと企業努力をしている会社でもあります。

現金が使われなくなった社会におけるAPIの世界観

 金融機関の方々と話していると、非常によくある質問として「なぜAPIが必要なのか」と聞かれます。ただ、私はこれは「現金がなくなった社会で、なぜATMが必要なのですか」という逆の問いへの答えでもあるのではと考えています。


 現金がなくなった社会では、ATMの機能はどちらかといえば、取引の指示や本人確認の場となります。ただ、お金を振り込むならインターネットバンキングを使えば良いですよね。

 しかし、Amazonで支払いをする時に口座番号を見てインターネットバンキングから振り込む人はほとんどおらず、クレジットカードが使われています。ECが典型的ですが、利便性を考えればインターネットバンキングでもなく、このように外部のアプリから直接お金を支払うのが当たり前になる社会が来るはずです。そのようなときに、APIは必須の機能であり、「いずれ今のATMになるもの」として捉えることができるわけです。

 実際に、住信SBIネット銀行のように自社のATMを持たない銀行は、一つのモデルとしてありえます。金融で当たり前だと思われているチャネルは、キャッシュレス化のように機能の前提が変われば要らなくなるのです。

 もちろん、現金が完全になくなる世界はまだ先ですが、現金を使おうとする人はより多くの手数料がかかるなど、悪い取引条件になっていく可能性はあります。

 APIに関しては、われわれも2月24日に「MFクラウド経費」のAPIを公開するという発表をしました。いろいろな方に自分たちのデータを使ってもらう環境が整いつつある状態です。

 サービスがAPIを公開するというのは、積極的に自社ソリューションを部品化することで、より使われるエコシステムを形成し、サービスを提供するプレーヤーも、ユーザーもAPI提供側も、それぞれがメリットを得られる仕組みにつながります。

 例えば、従業員が立て替えた経費を支払うだけではなく、その内容を分析して効率化したい会社は世の中にたくさん存在していて、それをビジネスとする事業者が出てきても良いはずです。MFクラウドシリーズを使っていたら、そういう便利なシステムが他でも使えるようになれば良いと思います。

この記事はマネーフォワードの 瀧 俊雄氏が語った内容をZDNet Japan編集部が再構成している

瀧 俊雄
取締役 兼 Fintech研究所長
1981年東京都生まれ。 慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村證券入社。野村資本市場研究所にて、家計行動、年金制度、金融機関ビジネスモデル等の研究業務に従事。スタンフォード大学経営大学院、野村ホールディングスの企画部門を経て、2012年よりマネーフォワードの設立に参画。自動家計簿サービス「マネーフォワード」と、会計や給与計算、請求書発行、経費精算などのビジネス向けクラウドサービス「MFクラウド」シリーズを展開している。経済産業省「産業・金融・IT融合に関する研究会」に参加。金融庁「フィンテック・ベンチャーに関する有識者会議」メンバー。

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