経済産業省は、4月20日、「データ利活用促進に向けた企業における管理・契約等の実態調査」の結果を発表した。
これによると、調査に協力した東証一部上場企業304社のうちの61.5%(176社)が、「将来的には、社外からのデータ取得を行うことが望ましいと考える」と回答していることが分かった。
同調査は、2016年10月17日から11月11日にかけて実施された。調査内容は、事業内容、事業におけるデータ利活用の状況(現状・望ましい姿)、データ利活用を今後推進していく上での課題や制約、データ利活用をしていく上での政策的な課題・要請など。
企業間におけるデータのやりとりについては、現状で社外からのデータ取得を行っている企業が42.7%(122社)。また、現在「社外へのデータ提供」を全部または一部行っている企業が24.0%(69社)。将来的には、全部または一部を提供することが望ましいと考える企業が32.3% (93社)という結果となった。
第三者によるデータの不正利用に対する法制度については、厳罰化や損害賠償などによる抑止力を高めることと同時に、自社や顧客に対する被害拡大を抑えることを目的に、差止め措置などを求める声が多いことが分かった。
回答別(複数回答)では、損害賠償基準の明確化を求める企業が69.1% (197社)、罰金・懲役などといった罰則強化を求める企業66.0%(188社)、差止請求による被害の最小化60.0%(171社)、データを不正取得したとしても個人・企業にアプローチができないようにする制度を求める企業44.9%(128社)となった。
データ利活用を推進していく上での課題・政策要請については、ヒアリング調査を行っている。製造業企業からは、「生データを保護することは難しいかもしれないが、当社で分析したデータについては他社が不正利用した場合に差し止め請求ができるような法的な裏付けが欲しい」「利害調整(権利、紛争の事後解決など)の機能を果たすルールがあれば企業はデータ利活用に取り組みやすくなり、その拠り所となる法律が必要である」「日本ではデータ利活用の相場感(データの利用範囲など)が形成されていないため、データ利活用に積極的ではないと思われる。ただし、相場感を形成するには一定のルールが必要と考える」「営業秘密は個別企業ごとに秘密保持契約を結ぶが、限られた業種内で多数の企業と秘密保持契約を結ぶと実質的には秘密は守られなくなる可能性がある」といった意見が出された。