ほとんどの企業は、自動化を全社で取り入れなければならないことを認識しているという。しかし、社内全体に自動化を適用するのは難しい。まず、自動化を受け入れて活用するためには、人のスキルの要素がある。さらに、会社全体を自動化するためには、自動化のためのツールがシンプルでなければならない。
サーバをエージェントレスで操作、読めるスクリプトを全社で共有
同社が業務の自動化のために担いでいるツールがAnsibleだ。Ansibleは、サーバの設定/運用を自動化できる構成管理ソフトであり、サーバにログインしてのコマンド操作などをスクリプト化して実行できる。「簡単なので人から人へと利用が広がる。シンプルなので全社に自動化を適用できる」(Tim氏)
特徴の1つは、競合製品と異なり、自動化の対象となるコンピュータやネットワークスイッチ側にエージェントソフトが要らないことだ。何もインストールすることなく、Ansibleからsshでリモートアクセスして操作する形になる。
自動で実行する処理を記述するスクリプトをAnsibleではPlaybookと呼ぶ。Playbookの特徴は、人が読んで理解できることだ。「何が自動化されているのかを理解でき、これを複数人で共有できる」(Tim氏)。Playbookのライブラリも作れる。監査の機能も備えており、誰がPlaybookを書いて誰が編集したのかなども分かる。
「Ansibleは単なるITシステムの自動化ツールではない」とTim氏は強調する。「汎用的に使えるツールであり、さまざまな場面で組み込んで自動化できる。Andibleが組織の共通言語になる。これを使って組織のワークフローを回すことができる」(Tim氏)
Tim氏は、Ansibleのユーザー事例の1社として、ログ管理ソフトを手がける米Splunkを挙げた。Splunkでは、クラウド環境におけるサーバーのデプロイ(配信/配備)、コンフィグ(設定)、スケーリング(性能や容量の拡張)を、Ansibleで自動化している。