エンタープライズ型
動作ログもすべてサーバ側で記録され、バージョン管理も容易であり、実行スクリプトもサーバ側で管理できる。
ただし、社内インフラに組み込まれるという性質が非常に強くなるため、IT部門の関与なしにこれらの製品が実務に使われることはあまりない。
デスクトップ型との比較でいえば大がかりな取り組みになることが多く、ある程度の投資を覚悟すべきである。組織的にガバナンスを効かせながら大規模に導入していくには向いている。
このような製品はRPAが動作するデスクトップ環境としても仮想デスクトップ環境をサーバ内に構築して導入することが一般的だ。
操作可能なアプリケーション
実はすべてのRPA製品がすべてのデスクトップアプリケーションを操作できるわけではないのだが、この点はまだ世の中的に広く認識されていない。
RPAが操作する対象には、ExcelなどのOffice製品、メール、ウェブベースのシステム、クライアントサーバ型のアプリケーション、AS400やホストコンピュータなどのエミュレーション端末、Javaのアプレットで開発されたアプリなど、多種多様な技術基盤で作られたアプリケーションがある。
トライアルの段階から採用を検討しているRPAツールが、自社で活用されている技術基盤のアプリケーションを自動化できるツールとなっているかをきちんと検証した上で採用を決定すべきである。
ウェブ系とOffice系の連携だけで行われている業務でRPAのトライアルを実施して採用したツールが、後になってから「自社の基幹系の業務アプリが扱えず展開できない......」といった手戻りが起きているケースが散見される。
開発生産性
ノンコーディングでプログラミングを伴わずダイアログ形式でスクリプティングを行うことができるRPA製品も多い。用意されているコマンドの豊富さがツールで対応できることの多様性を決めるのだが、そのコマンド群の機能の数は製品ごとに異なる。
また、テキストベースでのコーディングを伴う製品では実装できるような技術者の養成に多少期間がかかるものもあり、実装にかかるコストは採用する製品によってはかなりの差が出るケースもある。
だが、テキストベースでのコーディングを伴うツールは、習熟に時間がかかる反面、実装できる機能の豊富さではノンコーディング型の製品をしのぐケースもあり、どちらが優位であるかは一概には決め難い。
自社での展開をどのような体制・要員で進めていくか、それと合致したツールを選ぶとよいだろう。