周辺機能
RPAは単独の自動化のみならず、周辺技術と組み合わせてさらに効果を高めることが期待できる。
昨今ではかなり高い識字率を誇るようになっているOCRとの組み合わせた導入は多くの企業で行われている。複雑な業務ルールを実装する際にはRPAだけで管理するのではなく外付けのルールエンジンなどを活用することもあり得る。
また、RPAは人工知能を活用した効率化・高度化につながっていく旅路の入り口になるが、シェアの高いベンダーの多くは画像認識・自然言語認識、AIのエンジンなどさらに高度な機能を実装し始めている。
もちろんサードパーティの製品を組み合わせることも可能だが、各社とも自社のRPA製品とのシームレスな連携ができる形で高度な技術の実装を進めている。
単純な繰り返し作業の自動化にとどまらない高度化に資する機能に開発投資を行っているベンダーの動向には注視しておくべきだろう。
その他、自社に合ったRPA製品を選ぶ際にはベンダー企業自体の財務状況やサポート体制など、製品機能だけではない要素も加味して決めることになるが、上記のようなRPA特有の考慮点を織り込んで検討してほしい。
また、製品としてのRPA提供ではなく、BPOサービスの一形態としてロボットによる業務処理を提供する、というサービス型もある。
ソフトウェアを購入し開発する、ということとは異なる形態でのRPAの適用も行われており、自社への適用の際にはどのような形態で導入を進めていくかも合わせて検討すべきである。
最後に、第三者機関からの評価レポートにも取り上げられることの多い代表的なRPAベンダーのリストを記載しておく。
ベンダー名 | 製品名 |
---|---|
Automation Anywhere | Automation Anywhere Enterprise |
Blue Prism | Blue Prism |
Kofax | Kapow |
Work Fusion | Work Fusion |
UiPath | UiPath |
Redwood | Robo Finance |
Pega Systems | Pega robotic automation |
Kyron Systems | Leo |
NICE | Robotic Automation |
NTTアドバンステクノロジ | Win Actor |
もちろんこれら以外にも多くの製品があり群雄割拠の様相を呈しているが、マーケットの伸長とともに徐々に淘汰(とうた)されていくだろう。
ERPなどの基幹システムを採用する際にも、長く自社の実務を支えるインフラとしてサポートが受けられるようビジネスパートナーを選定するという要素が強いが、RPAを導入することは「ロボット人材」の採用に他ならない。
長く付き合えるベンダーと、それらの製品をサポートできるサービスプロバイダーの選定も重要な要素であることを付け加えておく。
- 信國泰(デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員 パートナー)
- ビジネスモデルトランスフォーメーションサービスの責任者。CFOサービス、サプライチェーンマネジメントの分野で数多くのプロジェクトを手がけており、グループ全体にまたがる機能再配置や連結業績評価・損益管理、財務オペレーション改革、販社営業改革、グローバルPSIなど、改革立案から実行、IT導入まで改革プロジェクトをクロスボーダー・フルライフサイクルで数多く実行している。