今後、爆発的に市場が伸びていくことが予想されているRPAだが、現時点でも既にRPAツールは数多く開発・販売されている。今回はツールごとの違いについて取り上げたい。
そもそもITによる省力化・自動化の歴史は長く積み重ねられてきているわけだが、既存のITシステムとの関係においてRPAはどのように位置づけられるのだろうか。
まず、SAPなどのERPに代表される基幹システムはどうだろう。自動化を実現する手段である一方、組織をまたがって標準的に使用されるシステムであり、末端のオペレーション負荷を軽減し、自動化するものであるとは言い難い。
そのため、標準的なシステムでは拾いきれないオペレーションを自動化するために、基幹システムとは対局的に位置づけられるEUC(End User Computing)ツールとしてExcelやAccessなどのオフィスツール、OutlookやNotesなどのグループウェアが活用されてきた。
RPAはその中間に位置づけられると考えてよい。その上で、一口にRPAといってもそれぞれの製品の設計思想には違いがある。よりEUCツールに近く小規模な導入を個別に推進していくことに長けた製品もあれば、サーバ型で大規模に組織的に導入することを念頭に作られている製品もある。
また、そもそもRPA製品が開発されるに至った経緯もツールによってさまざまであり、それが製品の特徴に表れていることも多い。
例えば、BPM (Business Process Management)ツールを開発していたベンダーが、単にプロセスの管理をするだけではなくタスクの実行もできる機能を追加してRPAとして販売している。
この製品はRPAが実行するタスクが分かりやすく可視化され、時間の経過とともに変わっていく業務プロセスの管理がしやすい。別では元来が基幹システムの導入時にも活用されるテストツールやデータ移行ツールであったものを、RPAとして機能拡張し実務の実施にも活用できるようにしたツールもある。
自動化を実現するさまざまな手法の中で生まれた製品が同じ「RPA」として市場に出回っているというのは興味深い点である。
このようにさまざまなRPAが存在するため、選定するときに考慮すべき特有のポイントを挙げると以下のようになる。
デスクトップ型とエンタープライズ型
RPA製品を個々の端末にインストールし、その端末上でRPAの開発から実行・実務運用まで完結できる製品と、サーバ側で管理される製品とがあるのは前述したが、それぞれの長所短所を挙げるとおおよそ下記の通りと言える。
デスクトップ型
個々のPCで開発から実務運用までが完結する。個々人の作業を自動化するイメージだが、情報システム部門でなくとも容易に開発ができるような機能を備えている製品も多く、一般的に開発の「ユーザビリティ」を意識した製品が多い。
動作スクリプトは当然他のPCにコピーすることもできるが、一元管理されるわけではない。このため、担当者や部門をまたがり大規模に導入するには管理上はハードルが高いと言えるだろう。