Googleは米国時間6月6日、クラウドアプリケーションのリリース管理プラットフォーム「Spinnaker」のバージョン1.0がリリースされたと発表した。Spinnakerは元々、Netflixが社内で開発していたソフトウェアだが、Googleやその他の企業が開発に加わり、2015年にオープンソースプロジェクトとして公開された。現在では、MicrosoftやOracleを含む多くの企業で利用されている。
Spinnakerは継続的デリバリのためのプラットフォームだ。継続的デリバリはDevOpsの手法の1つで、コードを書いた後、自動的にビルド、テスト、リリース準備が実行される仕組みを用いて、開発したソフトウェアを頻繁かつ速やかにユーザーに提供するというものだ。Spinnakerはオンプレミスでも、ローカルでも、クラウドでもインストールでき、仮想マシンでもKubernetesでも実行できる。
バージョン1.0のリリースに合わせて、新しいCLIツール「halyard」もリリースされた。halyardを使えば、Spinnakerのインストール、設定、アップグレードが簡単になる。従来は、Spinnakerを構成するマイクロサービスを個別に管理する必要があった。
Spinnakerの特徴の1つは、クロスプラットフォームであることだろう。「Google Compute Engine」はもちろん、「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」や「Microsoft Azure」などにネイティブに対応しており、「Kubernetes」や「Open Stack」などもサポートしている。近いうちに「Oracle Bare Metal」のサポートも追加される予定だ。
Googleによれば、Spinnakerはマルチクラウドでのリリースや、ベンダーロックインの防止にも役立つという。同社はエンタープライズクラウド市場でAmazonやMicrosoftを追う立場にあるが、マルチクラウドの利用が容易になれば、Googleのサービスが「第2」のクラウドに選ばれる可能性も高まる。また、ベンダーロックインを防止しやすいという特徴も、先行するサービスから顧客を奪える可能性を高める要因になるかもしれない。