iPhoneの中国でのシェアが低下している。2010年代前半は、誰もがこのステータスアイテムを買い求め、多数のiPhone販売店を街中で見るようになった。それまでも中国で人気の中国ブランドのスマートフォンの代名詞としてZTE(中興)、Huawei(華為)、CoolPad(酷派)、Lenovo(聯想)の4社を合わせた「中華酷聯」があったが、あくまで低価格な中国ブランドとしての人気であり、外資系メーカーには及ばなかった。
だが、その後台頭したXiaomi(小米)やHuawei、OPPO、vivoなどの中国メーカーは、性能価格ともに申し分なく、AppleやSamsungの看板を掲げたスマートフォンショップが続々とこれら中国メーカー販売店に鞍替えしていった。中国のスマートフォン黎明期においては、ノキア、ソニー、サムスン、モトローラなどが人気であったが、どのメーカーもシェアを落としていった。
外資系メーカー最後のスマートフォンといえるのがiPhoneである。iPhoneも中国における2015年の第1四半期は出荷台数で16%のシェアがあったが、17年の第1四半期には9%まで下落した。iPhoneのニーズはあるものの、以前に比べて相対的な請求力は減っている。かたやApp Storeの中国における売り上げを見ると、2014年の10億ドルから2016年には60億ドルへと膨れ上がり、米国を超え世界最大の市場となった。中国はアプリに金を落とすようになったわけだ。
いくら中国ブランドの勢いがあり、Appleのシェアが下がろうとニーズがなくなることはない。App Storeの売り上げ上昇しかり、またSamsungやMicrosoftのスマートフォンのシェアがかなり下がったとはいえ、中国市場で販売し続けているのが証拠。ApplePayも普及こそいまいちだが、中国で対応店舗を徐々に増やしている。何よりも、中国では子供の学習向けデバイスとしてiPadがよく使われている。AndroidやWindows 10搭載タブレットは勢いがなく、iPadはオンリーワンの選択肢となっている以上、iPhoneも生き続ける。
そのApp Storeでは、今月中旬、中国区のApp Storeにおける3万2000のアプリをAppleのルールに基づき削除した。うち1万3000はゲーム系アプリだった。アプリを削除するのは異例ではなく、毎日2000~4000程度消されるのは珍しくないとされるが、ニュースになるほど多数のアプリが削除された。