本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、インテルの江田麻季子 代表取締役社長と、日本ヒューレット・パッカードの本田昌和 DCHC製品統括本部長の発言を紹介する。
インテルの江田麻季子 代表取締役社長
「インテルはクラウドや各種デバイスを提供する企業へと進化している」
(インテル 江田麻季子 代表取締役社長)
インテルが先頃、事業の最新動向を説明するプレスセミナーを開いた。江田氏の冒頭の発言は、その場でインテルの成長に向けた戦略的サイクルを示しながら、同社の進化ぶりについて語ったものである。
江田氏はまず直近の動きとして、「エンタープライズおよびクラウド向けのインテルXeonプロセッサ スケーラブルファミリーを2017年半ばに出荷開始」「ハイエンドデスクトップPC向けの第8世代インテルCoreプロセッサを2017年後半に提供予定」「ストレージ向けにインテルOptaneメモリを提供開始」「自動運転事業への注力」「家庭向けIoT(Internet of Things)プラットフォームの実証実験を開始」などのトピックを挙げた。
特にインテルXeonプロセッサ スケーラブルファミリーについては、「新ブランド製品として、過去10年にないほどの大幅なプラットフォームとしての進化を遂げている。前世代の製品と比べて1.59倍の性能向上を図り、セキュリティをはじめとした各種機能も大幅に強化している」と、同社として非常に重要な戦略製品であることを強調した。
冒頭の発言の基となるインテルの成長に向けた戦略的サイクルを示したのが、下の図である。江田氏はこの図について、「今や大量のさまざまなデータが世界を駆け巡っている中で、それらがクラウドおよびデータセンターで収集・処理され、さまざまな業務やサービスに利用されている。そして、それらを利用する各種デバイスにもスマートな機能が求められている。そうしたデバイスが増えれば、まだ大量のさまざまなデータが生み出され、クラウドおよびデータセンターに収集される」と説明。そのうえで次のように述べた。
インテルの成長に向けた戦略的サイクル
「インテルはクラウドおよびデータセンターと各種デバイスのプロセッサを提供しているほか、メモリやFPGA(Field-Programmable Gate Array)も手掛けており、このサイクルを加速させることに注力している。したがって、これをインテルの成長に向けた戦略的サイクルと位置付けている」
ちなみに、一般的には図の左側に記されている「インテルがPCに主軸を置いた企業から、クラウドや数十億台のネット対応のスマートデバイスを提供する企業へと進化」との説明のほうが分かりやすいだろう。
江田氏はこうした基本戦略のもと、今後同社が注力していく分野として、「自動運転」「AI(人工知能)/機械学習」「IoT」「5G」「VR(仮想現実)/ゲーム/e-Sports」の5つを挙げた。こうしてみると、インテルの進化がIT市場の変貌ぶりを物語っているようだ。