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セキュリティ対策の不都合な真実--日本で海外製品が売れ続ける構図 - (page 2)

武田一城

2017-07-04 06:00

日本における海外製品ディストリビューターの意味

 この海外ベンダーの製品を日本市場に流通させるディストリビューターは、日本のセキュリティ業界で大きな役割を担っている。この市場の主力製品は海外製なのだから、一定以上のシェアを獲得した場合、そのリターンは当然大きい。筆者が知る某ヒット製品の場合、その年間の利益は数十億円に達した。

 実はIT分野で、一般の人が想像しているような高い利益を生み出すビジネスは思いのほか少ない。技術者の人件費をベースとした考え方が強いため、設備投資などのあまり必要としない低いリスクとリターンという構造が多くなるからだ。そのため、1つの製品やサービスで数十億円という収益が出るスキームは、このIT業界において十分に「ドル箱」となり得る。

 しかも、このスキームではベンチャー(製品ベンダーなど)への出資金が利益を生むことも多い。まず、NASDAQなどに上場した場合のキャピタルゲインが見込めるのは当然だし、上場に至らなかった場合にも、M&Aによってそのベンチャー企業が買収されたなどにも、大きな利益が発生する可能性がある。シリコンバレーの大企業はM&Aで規模や機能を拡大した企業が多く、M&Aが常態化している。成長し続けない企業はここではすぐに淘汰(とうた)されてしまうから、生き残ろうとすればあの手この手で成長を目指すのは当然なのだろう。

 そして、最も大事なことは、キャピタルゲインやM&Aの規模はここでも日本とおよそ2桁違うことだ。シリコンバレーの製品やサービスを扱うということは、この世界規模のマネーゲームで(日本国内とは)桁違いの恩恵を得られるチャンスを得ることでもあるのだ。

 つまり、海外と直接製品の取り扱いを行っている事業者は、製品が大ヒットする場合はもちろん、そうでない場合も出資などから収益を得るチャンスが複数ある。自ら考えてアイデアを出し、リスクを取りながら製品を自社開発するベンダーよりも多くの収益を得ることがある。しかし自社開発型のベンダーは、製品をヒットさせるしか収益を得る方法を持たない。国産の自社開発製品ベンダーは大きなリスクがあるにも関わらず、成功しても限定的な利益しか得られない厳しい環境にいる。

自社製品開発と海外製品ディストリビューションの比較''
自社製品開発と海外製品ディストリビューションの比較

 ディストリビューターが、海外発のコンセプトを日本に周知させることにより、大きな収益を得る。この米国のベンチャー企業のアイデアをお金に変える非常に良くできたサプライチェーンに組み込まれている事業者が、日本のセキュリティ市場で大きな勢力となっているのだ。

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