日本マイクロソフトは8月1日、2018年度の経営方針を説明する記者会見を開催した。クラウド事業の伸びを軸に、働き方改革、業種視点でのインダストリイノベーション、デバイスのモダナイゼーションという3つの注力分野を挙げた。
Microsoftの2017年度の法人向けクラウド事業の売上高は189億ドル。そのうちAzureは97%増、Office 365は43%増、Dynamics 365は74%増と順調に伸びた。代表執行役社長を務める平野拓也氏は「働き方改革の波に乗れたことが1つの要因。第二章に備え、人工知能(AI)など最新機能の徹底活用、Microsoft 365による安心安全な環境を実現する」と展望した。
日本マイクロソフト代表執行役社長の平野拓也氏
3つの注力分野の中で最も強調したのは、インダストリイノベーションだ。製品を販売するに当たって鍵となるパートナーシップについて、顧客リストを提供するような方法ではなく、「“Sell With”の考え方に立ち、一緒に売るようなイメージ」で取り組む。そのために横断的な組織としてパートナー事業本部を新たに立ち上げた。
インダストリとして具体的に挙げたのは、金融、流通、製造、政府・自治体、教育、ヘルスケア。金融ではFinTechによる新規ビジネス開発を推進する。第一生命保険やみずほフィナンシャルグループなどへの導入事例を強調した。製造業では現場のIoT化などを進めるスマートコンストラクション、政府自治体では農業やサイバーセキュリティなど、教育ではAzureにおける東京大学や静岡大学との連携事例を挙げた。
端末側のイノベーションも進むとするデバイスモダナイゼーションでは、Windows 10、Surface、AIなどを用いたスマートデバイス、複合現実(Mixed Reality)などが対象となるという。2020年1月14日にサポートを終了するWindows 7について、「Windows XPのEoS(End of Support)の際に需要が大きかったことから、今から啓蒙活動を始める」と平野氏は話した。
また、Mixed Realityについては現状、さまざまな企業がデベロッパーコミュニティを通じて自発的にPOC(概念実証)を実施しているような状況になっているという。
OSのライセンス販売中心から裾野の広いクラウドに軸足を移したことにより「Windows 95の時代よりアドレスできる市場規模は100倍になった。ビジネス機会は拡大している」と平野氏は話した。
大きな事業機会を見据える