MUFGのRPA導入--2年以上のパイロットから本格利用に移行 - (page 2)

飯田樹

2017-08-15 07:00

案件の特性ごとに使うRPAを決定

 同行では案件ごとに、使う”ロボット”を変えた。ウェブを巡回して特定項目の情報を収集する「Web crawler」、「RDA(ロボティックデスクトップオートメーション)」「RPA」のどれを使うかを、システム本部と使い方を定義し、チャートにのっとって選ぶことになっている。

 Web crawlerは、サーバ上にロボットを配置すると、自分でブラウザを開いてウェブシステムにアクセスし、操作するプログラムだ。

 ロボットの展開が効率的であることが利点であり、ウェブやエクセル操作などを目的とした場合に選択する。

 RDAはデスクトップにインストールして使うため、社員自身のIDを使って作業を代行することができるのが特徴だ。

 コールセンターなど、情報を収集して次のアクションにつなげる業務には向いているが、現場に設置したPCで動くため、障害時を考慮すればユーザー部内で保守体制を築くことが必要になる。

 RPAは、動き方はRDAと同様であるため、メインフレームやクライアントサーバシステム、仮想化されたシステムの操作も可能である。さらに、サーバ側で完全にコントロールされているため、運用管理がしやすく、ロボット停止時のリカバリもしやすいことが利点。

 そのため、Web crawler、RDAに当てはまらない全ての業務はRPAを選択することになる。

RPAの適用効果と推進ポイント


 RPAの適用効果としては、大量の業務をロボットで代行することによる効率化や、外部委託業務をRPAによって軽量化した上で内製できるというコスト削減効果が明確に期待できるという。また、日に数分の作業だが、その実施のために人が張り付いている業務の削減も考えられる。

 そのほか、要員と事務量がイコールになっている海外の小規模拠点でも余力を確保でき、規制の変更への対応や新しい取り組みができるようになる効果もあるという。

 副次的効果としては、実際に使ってみた人が新しいサービスなどを考える時に、ロボットの使用を検討するようになったことがあるそうだ。

 RPA推進によって判明したのは、「RPAは新しいシステム化のソリューション」であり、「特徴を理解」し、適用後に生じた課題への対処方法を検討することが重要ということだ。

 また、「エラーは発生するもの」として考え、限界を見極めて業務と緊急時対応計画を組み立てる必要があるという。そのための、社内のRPA対応体制構築も重要となる。

 今後の展開としては、国内では、リテールや法人業務というメジャーな分野で単純な業務からRPA化し、実績を示した上で、ニッチな業務や複雑な業務に進めていく予定だそうだ。

 海外はグローバルで専任組織であるCoE(Center of Excellence)を計画しており、開発体制を集約して、ロボットの利用は地域のビジネスアナリストが運用の枠組みを作り、地域のシステムにリーチする構造を考えているという。

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