ハードから読み解くITトレンド放談

いまから考えるWindows 10とPCの移行--後編

山本雅史 2017年08月29日 06時00分

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 2014年4月のWindows XPの延長サポート終了時に、ハードウェアを買い換えてWindows 7に移行したなら、第4世代のCore iプロセッサ(Haswell世代)を使用したPCを採用しただろう。2017年8月に、第8世代のCore iプロセッサが発表されたことを考えれば、さすがにPCの買い換えを考えた方がいい。また、実際の移行を2018年もしくは、2019年をターゲットにするなら、第9世代のCore iプロセッサ(IceLake世代)も視野に入れていいかもしれない。

 またAMDは、2017年末までにGPUを内蔵したRyzenベースのAPUを発表すると思われる。RyzenベースのAPUは、ノートPC向けとデスクトップ向けの2種類になるだろう。2018年には、Ryzenを進化させたZen2も発表すると予想されている。これらのプロセッサのスケジュールを考えれば、現在使用しているのが4~5年前に登場したPCなら、リース切れと同時に新機種に入れ替えた方がいいだろう。

 2014年当時のプロセッサから現在にいたる3世代分のプロセッサの進化は、特に内蔵グラフィックなどにおいては大きな差があり、パフォーマンスも大きく異なっている。また、3年の間にSSDなどが低価格化して、高速なドライブとして当たり前になってきた。SSDは、HDDを使っているPCから見れば、信じられないほどの高いパフォーマンスで動作する。

 ただし2017年現在においても、SSDの容量はHDDに比べると小さい(容量に対するコストパフォーマンスはHDDの方が高い)。このため、大量のデータを持つデスクトップPCなどは、OS(ブートドライブ)領域をSSDに置き、データはセカンドドライブのHDDに置くといった方法がお勧めだ。ノートPCや2in1 PCなどは、内蔵ドライブを拡張できないため、大きな容量のSSDモデルを購入するか、USB3.0/3.1接続の外付ドライブや大容量のUSBメモリを使えばいい。

 Windows 10への移行ということでは、ここ1~2年でPCを買い換えた場合が悩みどころだ。Windows 10は2015年にリリースされているが、ダウングレード権を行使する形でWindows 7のプリインストールモデルなどを購入して使っている場合、PCのハードウェアとしてはそれほど古いわけではない。さすがに、Windows 10への移行でまたPC自体を買い換えるというのは、企業にとっては無駄なコストになる。

 そこで推奨したいのが、ハードウェアはそのままにして、OSをアップデートする方法だ。Windows 10は、Windows 7で動作しているアプリケーションの互換性やハードウェア互換性に関して非常に高い。インストール前に互換性チェックを行うアップグレードアシスタントなども用意されているため、多くの場合、インストール後にトラブルが起こることは少ないだろう。

 また、MicrosoftのポリシーによってIntelの第7世代Core iプロセッサ以降やAMDのRyzenプロセッサは、Windows 10のみがサポートされている。このため、2017年以降のPCは、Windows 10しか動作が保証されていないと考えた方がいい(メーカーによってWindows 7用のドライバが提供されているが、基本的にはサポート範囲外の扱いになる)。以前はPCメーカーによって、ダウングレード権を使ったWindows 7モデルが販売されていたが、現在ではWindows 10のPCしか存在しない。

 多くの企業は、PCのリース切れに合わせて新しいPCハードウェアに、新しいOSを入れて導入している。だがWindows 10の導入を契機に、既存のPCのOSをアップデートするという方法も積極的に採用すべきだろう。特にWindows 7からのアップデートに関しては、Microsoftがさまざまなツールを用意したり、互換性に気を付けて開発したりしているため、大きな問題はないだろう。

 PCに関しては、第5世代のCore iプロセッサ(Broadwell世代)以降なら、Windows 10へのアップデートを考えてもいい。それ以前のプロセッサを搭載したPCは、コストが許せば新しいPCに買い換えた方がいい。

 ストレージ容量の少ないタブレットなどは、Windows 10へのアップデート時にトラブルが起こりやすいので、できればWindows 10プリインストールモデルに買い換えた方がいいだろう。特にAtomプロセッサを搭載したタブレットは、今後のWindows 10のサポートに関しても不明な部分がある。新しいWindows 10タブレットに買い換えるか、2017年末までに発売が計画されているARMプロセッサ版のWindows 10タブレットなどを検討した方がいいだろう(ARM版Windows 10タブレットも発売後半年から1年ほど様子を見て、本当に製品として生き残るのかを判断してからになるだろう)。


Windows 10はWindows 7に比べてIT管理者向けの機能が強化されている。もちろん、セキュリティ関連の機能も大幅に強化されている(Decode2017資料より)

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