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企業セキュリティの歩き方

「運用でカバー」という魔法の言葉--システム部門を悩ますセキュリティでの現実

武田一城 (ラック)

2017-09-14 06:00

 本連載「企業セキュリティの歩き方」では、セキュリティ業界を取り巻く現状や課題、問題点をひもときながら、サイバーセキュリティを向上させていくための視点やヒントを提示する。

セキュリティ対策とマネジメント

 前回前々回では、IT業界全体にはびこる「運用でカバー」なる文化が生まれた経緯を説明した。その構造への反発がどれだけ多くても、業界全体に染み付いた商習慣や既得権など大きなハードルによって打開されない状況も述べた。今回からセキュリティ対策に話題を移し、どうしても多くなりがちなシステムのリプレースにおけるセキュリティ強化策について解説する。

 2016年4月、経済産業省が実施する情報処理技術者試験で「情報セキュリティマネジメント試験」が新設された。情報処理推進機構(IPA)によると、「情報セキュリティをいかに確保するか」は今や組織にとって大きな経営課題だが、標的型攻撃、内部不正などの多種多様な脅威は、「ITによる対策(技術面の対策)」だけではなく、適切な情報管理、業務フローの見直し、組織内規程順守のための従業員の意識向上といった、「人による対策(管理面の対策)」についても、しっかりとした取り組みが重要だと述べている。

 また、そのための情報セキュリティマネジメントを担う人材の育成をいかに推進していくのかも社会全体の課題とし、これが「情報セキュリティマネジメント試験」を新設した理由だという。さらに、その対象は業種や職種、所属部門を問わないというから、セキュリティ対策は人によるマネジメントが不可欠であること、そして、情報システム部門のみが担うものでもないということを併せて示しているのだろう。

 ただし、この連載で述べてきたように、セキュリティ対策のマネジメントを具体的に実践できる企業や組織は非常に少ない。ここ数年、セキュリティ事故が発生した場合に対応する役割として、主に大企業で「CSIRT」(Computer Security Incident Response Team)の設立がブームとなっている。これも、セキュリティ人材によるマネジメントの重要性の認識が高まった具体例と言える。しかし、このCSIRTも社内のメンバーにセキュリティ運用の経験を積ませることが難しくもあり、なかなか機能しないという。

 そのため、結局は「セキュリティ対策=多機能のセキュリティ対策製品の導入」という状況になっていることも多い。マネジメントの重要性が徐々に認識され始めているものの、実際のセキュリティ対策は従来のものとあまり変わらない(変わりようがない)という状態だ。

 一般的な企業や組織においてセキュリティ対策を強化しようというタイミングは、何らかの大きなインシデントが報道されるなど一時的な気運の高まりを除けば、システムのリプレースになる。たいていの場合、5年サイクル(リース契約や各機器の保守期間)がほとんどであり、当然ながら、ここが大きくシステムを変更できる機会だ。しかし、そんなビッグチャンスにも関わらず、それほど深く考えずにその時々で流行しているセキュリティ対策製品を安易に導入するだけになるという場面がしばしば見られる。

 なぜ、そうなってしまうのか――。実は、大規模なシステムになればなるほど、リプレース前と同等のスペックを保ちながらスムーズに変更することが難しくなるからだ。機能の追加がほとんど無い場合、あるいは、前もって綿密に手順を決めて順守するといった当たり前の作業であっても、それを徹底して実行するのは難しい。そして、このタイミングで機能強化やセキュリティ対策のような大幅な改修を加えるとなると、成功のハードルは非常に高くなってしまう。

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