働き方改革にITが貢献できることは多い。仮想デスクトップのCitrix Systemsは、アプリケーションの仮想化、ネットワーク管理、ファイル共有・同期などをそろえた「デジタルワークスペース」を打ち出しており、働き方改革を「追い風」と表現。ソリューション提供を進めていく。
この春、シトリックス・システムズ・ジャパンの代表取締役社長に就任した青葉雅和氏に話を聞いた。
--”Future of Work”(働き方の未来)を打ち出しています。どこからでも仕事ができる環境としてのFuture of Workは以前から提唱していることですが、セキュリティ、アナリティクスやAIにも拡大しています。
シトリックス・システムズ・ジャパンの代表取締役社長、青葉雅和氏
例えばセキュリティ。データセンター、ユーザーのPC、ネットワーク、とそれぞれでセキュリティを担保するというのがこれまでの考え方です。Future of Workの世界では、クラウドとモバイルの普及によりどこにデータがあるのかわかりません。新しいセキュリティの考え方が求められています。
Citrixはもともとセキュリティの会社ではありませんが、新しいセキュリティが必要だと伝えてきました。ファイアウォールやアンチウイルスソフトが外の危険に対するセキュリティ対策だとすれば、われわれはデスクトップ仮想化(VDI)の中で、セキュリティレベルを高めることに焦点を当てています。
ファイル共有の「ShareFile」、ネットワーキング「NetScaler」でどのようなことが起こっているのかを把握したいというニーズは高く、異常を検知して、アラートが出て、それに対する対策を講じる。NetScalerはネットワーキング、ロードバランサ技術ですが、もともとネットワークの中身を細かく見る機能があり、それを利用して”見える化”をします。
「HDX Insight」として、画面転送時にどのデータを優先させるかを設定・制御する際のデータを分析します。以前から提供していた機能ですが、これまでの技術資産を活用してセキュリティ、アナリティクスやAIに活用しています。
セキュアな環境の中でのセキュリティであり、セキュリティレベルが一段違います。
--セキュリティベンダーとの差別化は?
セキュリティベンダーはピンポイントで安全対策を講じることができますが、Citrixはトータルです。全体の環境に対してどうやってセキュリティを守るかで、上のレイヤからセキュリティを見ています。ここが違いと言えます。
これまでのセキュリティの考え方も必要ですが、別のレベルのセキュリティも考えなければならない時代になったと言えます。
--日本では「Citrix Cloud」を2月に発表しました。立ち上がりは?
問い合わせはすごく多く、予想を上回っています。中には既存のお客様もいれば、新規のお客様もいらっしゃいます。規模もさまざまで、大手企業も含まれています。関心をいただいている企業数は3ケタに上ります。
背景には、政府がプッシュしている「働き方改革」があります。働き方改革として、テレワークや在宅を導入しようという動きです。何かやらなければならないが予算化されていないような場合、クラウドは手っ取り早い手段です。クラウドなので運用も任せることができる。このようなクラウドの特性は、これまで計画していなかったプロジェクトに適しており、それが高い関心につながっているようです。
VDIは高価というイメージがあり、クラウドで提供することでお客様にとってより身近なものになります。これまでは大企業が中心でしたが、それ以外の規模の企業にも広がると期待しています。
Microsoftの提携も訴求しているようです。「Office 365」をデフォルトの生産性スイートにする、「Windows 10」にアップグレードするなどの状況で、Microsoft Azureを利用する顧客が増えています。
XenAppやXenDesktop向けに最適化した「Skype for Business」を共同開発しましたが、SkypeをVDIで使うのとは全く異なるレベルの性能や品質を実現しました。サポートについても、MicrosoftかCitrixかどちらかにケースを挙げると、2社でケースを共有して解決する体制を敷いています。
Microsoft製品はほとんどの企業でなんらかの形で使われており、連携は重要です。