Facebookが「Oculus for Business」事業を開始したことで、同社のエンタープライズ向け事業には大きな武器が1つ増えた。
FacebookはAmazon、Apple、Googleなどの後を追い、エンタープライズ市場に焦点を合わせた戦略を展開し始めている。これらのテクノロジ企業には、もともと一般消費者が主軸だが、ビジネス向けのツールスイートを充実させてきているいう共通点がある。
Facebookのビジネス向け事業に向けた動きを分析していけば、ビジネステクノロジ分野に参入しようとする同社の野心を見過ごすことはできないだろう。
この記事では、進化を遂げているFacebookのビジネステクノロジスタックについて考えてみたい。
Workplace by Facebook
Facebookの「Workplace」はプラットフォームとして成功しつつある。Walmartのような大型顧客を獲得した製品であることを考えれば、そのことに議論の余地はないのだろう。それでも、筆者個人はWorkplaceに夢中になっているとは言えないし、率直に言って、ほかのコラボレーションプラットフォームと同じように、失敗に終わるのではないかと思う部分がある。もっとも、米TechRepublicの記者Jason Hiner氏は、より楽観的な見方をしている。
筆者はテンプル大学の非常勤教授として、Workplaceを利用している。Facebookは企業組織でも十分に使えるし、トレーニングも必要ない。これは、一般のFacebookを基本にしているという理由が大きい。すべてがユーザーにとってなじみ深いものだ。
しかし筆者個人としては、生活の中でFacebookに疲れてしまっている部分もある。筆者の生活においては、Facebookはノイズのようになっていたり、通知だらけになっていたりする。Workplaceは個人向けのバージョンよりもノイズが減るだろうが、非常に似ていると言える。
Oculus for Business
これについては、Facebookはエンタープライズ市場を理解し始めていると言えるかもしれない。認識しておく必要があるのは、業務命令でもなければ、不格好なVR(仮想現実)ヘッドセットを好んで身につけたいと思う人は、あまりいないということだ。
拡張現実や仮想現実は、エンタープライズ環境でこそ活用できる。HTCは企業での利用を狙っている。「Google Glass」もこの分野で顔見せをした。Microsoftの「HoloLens」はほぼビジネス向けだ。FacebookとOculusが出荷量や利用事例を増やしたければ、企業を狙うしかない。
Oculusはブログ記事で、次のように述べている。
これは企業にとってだけでなく、VRの長期的な存立にとって大きなチャンスだ。VRが日常生活になくてはならない要素になるためには、人が協力し合い、発見し、学ぶ方法に大きな影響を与え続ける存在になる必要がある。Oculus for Businessが提供されることで、より多くの人がVRを試すチャンスを獲得し、この魔法を直接経験することになるだろう。
あらゆる種類の企業が「Oculus Rift」を生産性の向上やトレーニングの加速に利用でき、従業員や顧客に対して、Riftなしでは不可能なことを提示できる。利用できる可能性のある業界は、旅行、教育、医療、建設、製造、自動車、小売など多岐に渡る。