「技術力評価会」で絶妙なエンジニア文化を醸成--VOYAGEの取り組み

ZDNet Japan Staff 2017年10月27日 07時30分

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 VOYAGE GROUPでは、エンジニアやデザイナーのスキルレベルを判断するために、「技術力評価会」という制度を採用している。評価される人材より上位グレードのエンジニアやデザイナーが、昇格候補者の考え方やコードを評価するものだ。

 なぜこのような制度を採用しているのか、その内容やメリットなどを、同社の執行役員 最高技術責任者(CTO)である小賀昌法氏に聞いた。

ZDNet:なぜ技術力評価会の制度を作ったのでしょうか。その背景を教えてください


執行役員 最高技術責任者(CTO)小賀昌法氏

小賀氏:事業部などチームを超えてエンジニアの技術を評価する仕組みが必要だったからです。もともとVOYAGE GROUPには、エンジニアやデザイナーの能力が昇格に値するかを検討する「シスクリ諮問会議」がありました。

 私が関わるようになった2010年当時、この会議では「能力の評価が妥当なのかわからない」という問題がありました。会議が形骸化してしまったのです。

 これは仕方のないところもあります。会議の開始当時のVOYAGE GROUPは「システム本部」にエンジニアが全員いて、上長もエンジニアでしたが、事業部制を採用することになり、事業ごとにエンジニアが配属されるようになりました。このため、事業部ごとに縦割りの状況になってしまい、職務という横串で評価することが難しかったのです。

 そこで、「能力評価を意味のあるものにしよう」と、新たな会議の模索が始まりました。まずは、「書いたコードをレビューしよう」となり、一番スキルの高いグレードである「S4」のエンジニアが、昇格候補者のコードをレビューして、能力を判断することを始めました。その後、良さそうなことは制度化していき、丸5年で現在の形になりました。

ZDNet:技術力評価会の内容は、どのようなものでしょう。

小賀氏:評価会は90分。半年に1回の頻度で、2人の評価者に対し、直近半年くらいの仕事からテーマをピックアップして「何を」「なぜ」「どのように」したかを説明します。エンジニアは一週間前には説明資料を作成して評価者に渡しておき、ディスカッションをします。会議後、評価者はCTOに評価の内容を伝えます。このスタイルを継続しています。

 制度化する前は昇格候補者のみでしたが、制度化されたあとは上位クラスのエンジニア以外全員を評価することに変えています。

ZDNet:どんなことを評価していますか。

 評価する軸はどんどん変化しています。例えば技術評価会を始めた2011年は、評価軸に「セキュリティ」と「テスト容易性」を必ず入れていました。当時はセキュリティ面で脆弱なコードが目立ちましたし、テストをしない人も多かったのです。これは、セキュリティに時間を掛けるより早く機能をリリースした方が評価されるという風潮があったためですが、「脆弱性のないコードを書けば評価される」という方向にシフトしました。

 また、文化として根付いてほしいこととして、「事業やサービスの理解度」や「プロジェクトごとの要件・制約」といった軸がありました。

 しかし2013年には文化が根付きはじめ、スキル的にも、「この辺があからさまに悪い」という点がなくなってきました。

 そこで大きく「実現力」と「改善力」という内容にしました。「モノを作っていく力」と、「作った後に改善していく力」というわけです。

 さらに2014年には評価軸を文章に変更しました。例えば“プロジェクトマネジメント”という言葉はあいまいなので、一般的な用語ではなく、われわれにとって適した文章に変更しました。構築、運用しているシステムが妥当なのか、プロジェクトの進め方が適当かを深堀りし、文章化して評価軸にしたのです。



 技術力評価会の評価軸を改善し続けたことで、「事業を支える技術」とは何かを、コードのレビューとは別の側面から議論できる場になったと思います。

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