アナリスト企業のGartnerは最近、2017年版の先進テクノロジのハイプサイクルを発表した。この資料は数年前から、テクノロジが企業(および企業のIT支出)に与える影響を測る重要な指標の1つだと見なされている。
では今、最高情報責任者(CIO)は何を考えているのだろうか。
Gartnerによれば、この12カ月間で、ブロックチェーン、ドローン、ソフトウェア定義セキュリティ、ブレーンコンピュータインターフェースが、サイクルの位置を大きく進めたという。しかし残念ながら、これらの技術はすぐにビジネスに結びつく状況ではない。
Gartnerはハイプサイクルの資料に、それらの技術が影響を与えるようになるまでにかかる時間の予想を併記している。前述の急速に進展している技術の中に、2年以内にいわゆる「生産性の安定期」に到達すると思われるものは1つもない。生産の安定期とは、Gartnerが提唱するサイクルの最終段階で、システムやサービスが主流の技術として受け入れられている状態を意味する。
この先進テクノロジのハイプサイクルは、今後ビジネスの現場に起きると予想される大きな変化(およびそれらの変化が最終的にいつ起こるのか)を示そうとするものだ。
またこのハイプサイクルの概念には、マーケティングの世界で話題になっている議論が、往々にして実際的な運用上の課題を無視しているという問題意識も含まれている。
筆者のメールボックスには、AI(人工知能)やロボットに関する調査結果や評価レポートが大量に届いている。しかし多くのCIOはまだ、最近起こった大きな変化であるクラウドの到来と格闘しているところだ。そして、それらのCIOにとって、予算の使途戦略の中心はクラウドであり、先進的なテクノロジはさまつな問題にすぎない。
ビジネスの現場での先進テクノロジの位置づけ
例えば、今話題になっている人工知能を例に取ってみよう。業界の専門家は、AIや、AIが生活や仕事に与える影響に関する評価を盛んに発表しており、コンサルティング企業であるPWCが最近発表した調査レポートでは、今後英国で既存の仕事の3分の1が、自動化の影響を受ける可能性があると予想している。
つまりロボットがやってきて、世界を変えようとしているわけだ。しかし、息を詰めて成り行きを見守る必要はない。実際にAIが到来するまでには、まだかなり時間がかかる可能性が高い。例えばPWCは、人間の仕事に対する影響は2030年まで顕在化しないと予想している。
ドローンに関心を持っているCIOは多いだろうが、これがIT支出の大きな項目になるのは、おそらくかなり先の話だ。
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