PC合弁事業が軌道に乗ればシステム事業にも拡大か?
両社の詳しい協業内容や会見の様子についてはリンクの記事を参照いただくとして、ここからはこの協業における筆者の印象を述べておきたい。
まず、内容を見て印象深く感じたのは、レノボがFCCLに51%を出資して経営の主導権を握ったものの、現存する富士通のリソースをそのまま活用する形をとったことだ。富士通にとっては、レノボの強みを取り込みながら自社ブランドの製品・サービスとして事業を継続できる形となる。
レノボにとっては合弁会社名を「レノボ富士通……」にしたかったところだろうが、一歩引いて富士通のリソースを活用する、つまりは、富士通のパワーを活用するという経営判断を行ったように見て取れる。
それもさることながら、会見を聞いていて頭に浮かんだのは、両社の協業は今回のPC合弁事業が軌道に乗れば、PC以外のシステム事業にも広がっていくのではないかということだ。というのは、システム事業をコアとする富士通に対し、レノボもこのところデータセンター向け事業に注力しているからだ。富士通にとってもレノボはシステム事業でも中国およびグローバル展開の力強いパートナーになり得るのではないか。今後の動きに注目しておきたい。
加えてもう1つ、今回の発表で気になったのは、会見の最後に両社の首脳幹部が記念撮影を行った際、にこやかに手をつないでバンザイをするシーンがあったことだ。田中氏が言うように「最高のコラボレーション」なので、両社の関係に全く異論はないが、筆者はこのシーンに違和感を抱いた。というのは、もともと富士通がもっと元気な会社だったらPC事業を売却しなくてもよかっただろうと考えるからだ。果たしてバンザイが相応しいか……。このコラムのタイトル通り、一言もの申しておきたい。

両社の首脳幹部による記念撮影。にこやかに手をつないでバンザイをするシーンも。