量子コンピューティング商用化の取り組みを進めているIBMは米国時間11月10日、50キュービット(量子ビット)プロセッサのプロトタイプを作成したと発表した。また、2017年末までに20キュービットプロセッサをオンライン上で利用可能にするとも発表した。
IBMは同日、この成果の概要を「IEEE Industry Summit on the Future of Computing」カンファレンスで発表した。
量子コンピューティングは、さまざまな分野においてブレークスルーをもたらすとされる技術だ。IBMは5月に、17キュービットプロセッサのプロトタイプを完成させたと発表していた。量子コンピューティングによって、従来のコンピュータでは手が付けられなかった問題を扱えるようになる。量子コンピューティングでは、2進数で動作する従来型のプロセッサと比較すると、計算処理を並列で実行できるという利点がある。
今回の発表におけるポイントは以下の通りだ。
- 20キュービットプロセッサを搭載した初の「IBM Q」システムは、超伝導設計と接続性、パッケージングを強化した製品となる。
- IBMは次世代のIBM Qシステムに搭載する予定である50キュービットプロセッサの、実際に動作するプロトタイプを構築した。
最初のIBM Qシステムのコンピューティング能力は、2017年末までにオンラインで利用できるようになり、2018年にアップグレードされる予定となっている。IBM Qのエクスペリエンスページを通じて量子コンピューティングの試用環境が提供されている。
Intelも量子プロセッサの開発に取り組んでおり、これまでのところはパッケージングと接続性のスループット向上に力を入れてきている。IBMは、研究者やアプリケーション開発者のエコシステム構築にも取り組んでいる。
量子コンピューティングの未来は明るいが、さらなる進歩が必要とされている。というのも、キュービットを均一にするとともに、安定化させるには極めて低い温度が必要となるという難点があるためだ。Intelは量子コンピューティングの実現に向けて実践的なアプローチを採用しており、パッケージングと素材に注力している。IBMも同様の取り組みを、クラウドでの実現に軸足を置いて推進している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。