クラウドへの移行を計画する際には、どういったことを考慮する必要があるのだろうか?
クラウドにワークロードを移行するにあたっては、他の大きなITプロジェクトと同様、堅実なビジネスケースが必要となる。検討している動きの適切さを判断する前に、想定される費用やメリットをすべて考慮に入れたビジネスケースを作成するのだ。
クラウドの支持者は、ホストされたサービスを用いることで企業のフットワークがより軽くなると主張する。しかし短所も存在している。
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クラウドへの移行は、一般的なITプロジェクトに比べると、難しい検討課題となる可能性もある。というのも、クラウドへの移行によって不要となるサーバや、場合によってはデータセンター全体をどうするのかといったさまざまな事項を検討する必要があるためだ。
ビジネスケースの検討では、クラウドにシステムを移行するために必要となる費用とともに、移行後にクラウド上でサービスを実行する費用も算出し、システムを社内にとどめておく場合の費用と比較する必要がある。
Amazon Web Services(AWS)は英国のロンドンで現地時間10月31日に開催した「AWS Transformation Day」イベントにおいて、データやアプリケーションを顧客のデータセンター内にとどめておく従来型のオンプレミスモデルを捨て去り、クラウド上へとサービスを移行する、すなわち自社システムをクラウド上でホスティングするようにしたいと考えている顧客のために同社がどのようにしてビジネスケース作成しているのかと、企業が検討すべき事項について詳しく語った。
AWSによると、ビジネスケースの作成ではビジネスの目的、すなわちクラウドに移行する理由や、どういった作業をやめたいのかといったことから手をつける必要があるという。その後、既存のインフラや、それに関連する費用を理解するという発見プロセスに進むことになる。
AWSでグローバルアドバイザリのシニアコンサルトを務めるMario Thomas氏は「自社の資産について把握できていない場合、詳細を掘り下げ、綿密なビジネスケースを作成する必要がある」と述べている。
そのようなデータの収集や分析は、顧客によっては1~2日のプロジェクトで済む場合もあれば、数週間におよぶ詳細なプロジェクトとなる場合もある。
「その理由は、精度の高いデータ分析を実施し、サーバやコンポーネント、アプリケーション、ピーク時のCPU利用量、ピーク時のメモリ使用量に注目するところにある。このため、極めて詳細なビジネスケースの作成を可能にする大量かつさまざまなデータポイントを収集するのだ」(Thomas氏)