住友化学、千葉工場にSDNを導入--2拠点で柔軟な運用

NO BUDGET

2017-11-29 06:00

 住友化学がNECのSDNソリューションを千葉工場に導入したと発表した。

 同工場は、場所が離れた姉ヶ崎地区と袖ヶ浦地区の2拠点を常時ネットワークで接続しており、平常時は姉ヶ崎地区から制御することで同一セグメントのネットワークを構築・運用している。


住友化学千葉工場

 今回、袖ヶ浦地区に設置した予備のSDNコントローラと「デュアルクラスタ機能」を活用することで、各地区それぞれが独立したネットワークとして運用できるようになる。これにより、両地区のいずれかの回線に障害が発生した際も、操業への影響を最小化できる。

 「デュアルクラスタ機能」は、2台の機器で冗長化する仕組みを活用したもの。平常時に運用する2台の機器に加え、さらに予備の機器を2台配置することで、障害時や被災時でもシステム運用の継続を可能とする。

 新ネットワーク基盤は、千葉工場の情報系ネットワークを対象に、NECのSDN対応製品「UNIVERGE PFシリーズ」を中核として設計・構築したもの。セキュリティ階層の異なる仮想ネットワーク(VTN)を柔軟かつ迅速に構築でき、システムごとに異なるセキュリティポリシーの適用や、サイバー攻撃時における被害範囲の最小化が可能。IoT活用を支える多層化・階層化されたネットワークを実現できる。また、ネットワーク全体の構成や通信状況をGUI画面で可視化し、仮想ネットワークを一元的に管理・制御できる。

 これらの機能を生かし、同工場では、より容易に、セキュリティを保ったネットワークを多層化することが可能となった。そのため、ネットワーク維持費用を従来比で約3割削減できる見込みという。


タブレット端末を利用した工場内の図面確認や保全記録作成イメージ

 同工場では、タブレット端末を利用した工場内の図面確認や保全記録作成の仕組みの構築に取り組んでいる。今回のSDN導入で、従来の強固なセキュリティ対策を維持しつつ、保全担当者が現場で簡単に工場の計器や機器の情報にアクセスすることが可能になる。

 今後、プラントの予防保全活動として、センサー機器からプロセスデータを収集し、AIやビックデータ解析などを用いてプラントの故障予知につなげることを検討していく。

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