米中央情報局(CIA)は、民間産業のスピードについていくために、2013年にクラウド利用に関する取り組みを始め、契約相手としてAmazon Web Services(AWS)を選んだ。
CIAのデジタル革新本部でDigital Futures担当ディレクターを務めるTeresa Smetzer氏によれば、その後の4年間でCIAの商用クラウド利用に関する取り組みは着実に進み、劇的な成果を上げているという。
Smetzer氏は米国時間11月28日、米ラスベガスで開催中のAWS主催のイベント「re:Invent」で開かれた「公的部門ブレックファスト」で講演を行い、安全なクラウドコンピューティング環境を持つことで、CIAの業務の進め方は根本的に変わったと語った。
「有力なスタートアップには常にイノベーションを起こしていく文化があり、これが市場をリードする原動力になっている。公的部門にとっては、どうやってそのスピードについていくかが課題になっている」と同氏は説明した。「これは公的部門特有の課題で、特に国防の最前線に立っているわれわれ情報コミュニティにとっては重要な問題だ」
CIAの商用クラウド戦略は約4年前にスタートしたが、当初は非常にリスクが高かったとSmetzer氏は言う。
「この取り組みがどう展開するかには確信が持てなかったが、ワークロードをクラウドに移行し、以前は想像もできなかった新たな機能を実現できたという点で、劇的な成果を上げることができた」(Smetzer氏)
先週、「AWS Secret Region」が立ち上げられた。このリージョンは、米国の情報コミュニティや、極秘レベルのデータセットを取り扱うその他の政府機関向けの、専用データセンターリージョンだ。
「これはわれわれにとって驚くほどの意味を持っている」とSmetzer氏は述べている。「これによって情報コミュニティの16機関すべてが、あらゆる機密レベルの情報を相互に運用できる能力を獲得した」
「これはわれわれが初めて、共通のツールセットや最新技術のコンスタントな流入、そしてミッションの要求に応じて素早く規模を拡大する柔軟性を獲得したことを意味している。これは革新的な機能だ」
Smetzer氏は、今日では多くの組織にとって情報は生命線だと言われているが、それはCIAでも変わらないと述べ、情報があるからこそ、CIAは役目を果たせると付け加えた。
ただし、CIAは最近データの爆発的な増加に対応しなくてはならなくなっており、この仕事は過去10年間でますます困難になってきたという。
「われわれのアナリストはデータの量、多様性、速度に対応する能力を持つ必要がある。世界中のあらゆる組織やコミュニティと比べても、その必要性は高いかもしれない」と同氏は語る。
「また、計算リソースの使途を根本的に転換して、データを発見し、アクセスし、安全に共有できるようにする必要がある。その点では、ほかの組織にはないかなり特殊なミッションを抱えている」(Smetzer氏)