クラウド向けの施策で同社は、プライベートクラウド型ストレージサービスの「NetApp Private Storage」や、バックアップ、データ重複排除といった機能などを提供しているが、クラウドビジネスユニット シニアバイスプレジデントのAnthony Lye氏は、大手クラウドサービスプロバイダーとの協業を中心に説明した。

NetApp クラウドビジネスユニット シニアバイスプレジデントのAnthony Lye氏
一例では10月に、Microsoft AzureへNetAppのストレージやデータの管理機能を組み込む「Azure Enterprise NFS」を発表、2018年前半にプレビューを開始する。ユーザーはAzureのコンソールからONTAPの機能を使う。サービスフロントはAzureだが、バックエンドはNetAppというイメージだ。同サービスでは、例えば、ストレージに格納しているデータをNFSからHDFSのフォーマットに変換してすぐに分析できる機能も提供するという。
さらにAmazon Web Services(AWS)とも同様に協業し、米国ラスベガスで開催中の「AWS re:Invent」で「NFS Hybrid Service for AWS」の提供と、「VMware Cloud on AWS」への対応を発表した。
Lye氏は、2018年中にクラウドオーケストレーションサービスの「NetApp Cloud Orchestrator」をリリースすると述べた。このサービスでは、AzureやAWS、IBM Cloud、Google Cloud Platform向けにアプリケーションを仮想マシンやコンテナ、マイクロサービスの形で展開したり、管理したりできる。

大手クラウドサービスプロバイダーによるサービスの中にNetAppならではデータサービスを組み込んでいく
クラウドオーケストレーションサービスの提供についてLye氏は、Reich氏の挙げたデータファブリックのアプローチの先にある展開だと話す。
データの活用や管理がビジネスにおけるITの中心となる環境では、従来のストレージ管理者だけでなく、開発者やデータサイエンティスト、事業部門担当者が関わるようになり、自ずとデータアナリティクスやDevOpsといった旬の“キーワード”も絡んでくるという。Lye氏は、こうした領域でデータサービスやAPIが同社の強みになると強調した。
ここまで来ると、ストレージ専業メーカーという従来のNetAppのイメージはないかもしれない。説明後の質疑応答で、NetAppの将来像を聞かれたReich氏は、今後もストレージに取り組むとしつつも、冒頭のように市場の変化に専業メーカーのままではいずれ消えゆくかもしれない危機感から、新たな領域に進出するのが当然のことだと語っている。