(本記事はBizauthが提供する「BA BLOG」からの転載です)
グローバル・スタンダードでは日本企業のIT部門は救えない
本記事では、こうした日本企業のIT部門が何をすべきか、シリーズで解説していこうと思っている。苦悩するIT部門を救う方法を、これまでの経験から得た手法をもとに紹介していきたい。
ITはグローバル化の流れとセットで議論されることが多い。それは、社会が、特に東京がグローバル化していることに加え、ITは海外、特に米国が先行しているからだ。ITのソリューションは輸入に頼っている。しかし、輸入品がそのまま使えるかと言えば、日本という国、日本国民という国民性、風土など条件が違っているから、少々違っている。
はっきりと申し上げたい。グローバル・スタンダードでは、日本企業の経営に役立つITはできない。
日本企業もグローバルで活躍すべきで、そのような企業は、グローバルスタンダードでやるべきという意見もあるかもしれない。しかし、筆者もグローバルで活躍するいくつかの日本企業とお付き合いしたが、これらの企業はグローバル・スタンダードで経営するというよりかは、自社のやり方をグローバルでも運用できるように、なじませているように思える。まず、自社のやり方ありきなのである。
日本では、同じ業界の企業なのに、組織の作り方、業務プロセス、人材のワークスタイル、マネジメントのやり方が全く異なる。日本は、産業レベル、あるいは国民経済レベルで標準化が進む他国とは違うのだ。例えば、職務・職種別の給与の標準化など、国民経済と産業の基礎構成が異なっている。そうした、条件が違い、独自の企業文化に基づき、独自の組織運営、業務プロセス、人材構成を持っているところに、海外のソリューションを輸入して適用させることが、合うわけがない。業務の標準化、組織の標準化を行うには、国民経済レベルでの条件の標準化がないと、一社の企業努力だけでは実現することは、難易度が高いのだ。
本来ならば、そうした条件の下で、各企業の最適解をともに導きだすのがコンサルタントであるはずだ。
しかし、海外のコンサルティングと日本のコンサルティングは難易度が異なる。例えば、海外で最高情報責任者(CIO)というとほぼ役割は同じだ。しかし日本では、単に基幹系を持っている人がCIOであることもあれば、企業全体のITを統括している人もいる。運用中心の人もいれば、業務改革権を持っている人もいる。横展開がしやすい海外と、横展開がしにくい日本の違いがある。日本のコンサルティングは、そもそも難易度が高いのだ。
加えて、コンサルティング業界も最近、質が著しく落ちてきている。質が低下していることは、コンサルタントを使っているユーザー企業の皆さんが一番良く感じていることではないだろうか。多くのコンサルタントは、グローバル・スタンダードが何か、なぜ機能するか、理解していない。一方で、日本企業がどういう独自な構造を持っているか、それも理解していない。どっちも理解をしていないので、ちょっと難しいプロジェクトを任せると、無価値に近いアウトプットを出すか、とてつもない失敗をする。