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要件定義力の再構築(7):要件定義力の再構築はできるのか?

宮本認(ビズオース )

2019-03-23 07:00

(本記事はBizauthが提供する「BA BLOG」から転載、編集しています)

 これまで、IT部門の信用を取り戻すためにはプロジェクトを失敗してはならないこと、失敗体質から脱却するには要件定義力の再構築が必要であること、要件定義力の再構築には段階を3つに分けること、1つのプロジェクトを小さくすること、事前の準備を進めて人を育てること、要件定義のマネジメントが必要であると述べた。ここに魔法のような解決策は何もない。

 システム部門が強い企業というのは、銀行などのIT産業化が進んでいる組織の中でたまに見かける。そうした企業は、例外なく、要件定義力の再構築が完了している。システム部門が強いから要件定義力が再構築されているのか、要件定義力が再構築されたからシステム部門が強くなったのか、鶏と卵の関係性を議論したくもなるが、こうした例示企業でも昔からIT部門が強かったわけではない。つまり、要件定義力の再構築がシステム部門の影響力を押し上げているのだ。

 また、まとめてみると、考え方として難しいものは何一つない。段階を3つに分けて進めよう、プロジェクトを小さくしよう、要件定義のマネジメントをしようなど、ちょっと考えればすぐにできることだ。確かに、人材の準備はそう簡単にいかない面もあるが、それ以外は容易なことだ。

 何が再構築の成功と失敗の境目になるのか。まずは、やるかどうかだ。目に見える危機的状況がある。例えば、失敗を重ね、規制当局から指導を受けているとか、顧客から大クレームを受けて仕事を失いそうになるとか、そうした場合は改革を進めやすい。しかし、危機に陥っている状況はまずい。危機になる前に、臨界点を超える前に取り組みを本格化することが大切だ。

 では、何がそれをさせるのか。月並みだが「リーダーシップ」だ。リーダーが改革を進めようと決心するほど重要視しているか、「今じゃなくていい」などと保身的なことを思わないかどうかにかかっている。

 要件定義の改革策は、斜め上の目線から見れば「ごまかし」の利かないような仕組みを導入することだ。リーダー自身も、その中で働く部員も、ごまかしがなくなることで窮屈に感じることは増えるし、プレッシャーにさらされる機会も増える。

 だから、みんな筋論では正しいと分かっていても、自分が大変になるのは目に見えているから、改革を前に進めようとは思わない。そうした後ろ向きな気持ちを突破できるほど、リーダーが組織を大切に思っているかどうかが、まずは問われることとなる。

 要件定義力の回復こそが情報システム部門の改革の一丁目一番地である。少しでも懸念が残るようであれば、まずはここを一掃しなければならない。情報システム部門としての当たり前の、本分の業務である。ここができなければ、どのような発展方向も望めない。ユーザー、経営者、顧客、ベンダーときちんとコミュニケーションを図り、最適なプロセスを作る能力である。要件定義ができないと他の何もできないのだ。

宮本認(みやもと・みとむ)
ビズオース マネージング ディレクター
大手外資系コンサルティングファーム、大手SIer、大手外資系リサーチファームを経て現職。17業種のNo.1/No.2企業に対するコンサルティング実績を持つ。金融業、流通業、サービス業を中心に、IT戦略の立案、デジタル戦略の立案、情報システム部門改革、デジタル事業の立ち上げ支援を行う。

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