海外コメンタリー

CPUの脆弱性騒動、これまでの動きから見えたこと

Jeff Pollard (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-01-12 06:30

 新年早々から、生活や仕事で日常的に使用されているコンピュータのプロセッサに脆弱性が発見され、情報が公開されるという予想外の事態が起こった。2018年は騒動で始まったと言っていいだろう。

 今回の脆弱性は、専用のウェブサイトを設けるのにふさわしいものだった。脆弱性の具体的な詳細に関しては、すでに多くの記事が書かれており、筆者自身も、所属するForrester Researchの顧客と共同で調査レポートをまとめているため、ここでは細部に立ち入らず、今回の問題から見えたことや影響に焦点を当てることにしたい。

  • GoogleのProject Zeroチームは、世界の安全に貢献している。Googleが、トップクラスのセキュリティ研究者チームを擁し、その成果を業界やユーザーと共有する取り組みを続けていることは、高く評価すべきだ。Google自身も、自社の製品やサービスをより安全にするための支援を受けているほか、メディアからの注目の獲得やPRなどの面でもメリットを受けているが、Project Zeroのおかげで、プロセッサやアプリケーションが以前よりも安全になろうとしていることは確かだ。
  • 今回の情報公開はほとんど完璧だったが問題もあった。これらの脆弱性に関する情報は、プロセッサのメーカーやOSベンダー、クラウドサービスプロバイダー、オープンソースプロジェクトのコントリビュータ―などが緩和策を用意できるまで、数カ月間にわたって伏せられていた。今回は、さまざまな業界の利益が競合する団体が、世界的な協力体制を敷き、顧客やユーザーのパニックをほぼ完全に押さえ込むことに成功した。これは極めて困難なことであり、参加したすべての組織は賞賛に値すると言っていい。しかし、CPUのアーキテクチャやハイパーバイザエスケープについて、さまざまな関係者に何日も説明し続けるはめに陥ったIT業界の関係者は、「十分によかった」や「ほとんど完璧だった」といった評価には思うところがあるはずだ。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    2023年OTサイバーセキュリティの現状レポート--75%の組織が過去1年間に1回以上の侵入を経験

  2. セキュリティ

    サイバーセキュリティ強化に向けてマイクロソフトが示す実践的な指針を紹介

  3. セキュリティ

    5分でわかる「AWS WAF」--基礎知識から運用で陥りやすい3つの落とし穴までを徹底解説

  4. セキュリティ

    最前線で活躍するトップランナーと本気で考える、これからのサイバーセキュリティ

  5. 経営

    ガートナーが指南、迅速な意思決定を促す「AI」活用を実践する3つの主要ステップ

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]