Satya Nadella氏が率いるようになってから、Microsoftは全面的にビジネス向け事業に移行した。
多少の例外はある。同社のゲーム部門は、最近ではかなり健全な業績を上げている。「Xbox」といくつかの人気のゲームタイトルに支えられているMicrosoftのゲーム部門は、2017年12月31日締めの四半期に40億ドル近い売上高を上げた。これは、同社の全売上高の13.5%であり、娯楽を求める顧客から直接上げたものだ。
しかし、Xboxは例外的な存在だ。近年、Microsoftは積極的に事業を再編しており、(ゲーム部門を例外として)エンタープライズ顧客に力を入れ、消費者向け製品からは手を引いてきた。
Satya Nadella氏が率いるMicrosoftがどの分野にリソースを割いてきたかを把握するために、筆者は2018年1月後半に公表された、2017年第4四半期(Microsoftの2018会計年度第2四半期)の業績報告を詳しく調べてみた。
同社は同四半期に289億ドルの売上高を上げている。そのうち約190億ドル(全体の65%強)が、オンプレミスのデスクトップ、サーバソフトウェアライセンス、クラウドサービス、企業向けコンサルティングサービスなどを購入した、大企業や政府機関から上げた売上高だった。
ゲーム部門とエンタープライズ部門を除く、ほかの事業部門が上げた売上高は60億ドルだ。しかしそのほとんどは、消費者向けチャネルを通じて販売された、ビジネス関連の製品やサービスから上げたものであることが分かった。エンターテイメント向けに作られた消費者向け製品による売上高はごくわずかだ。
以下のグラフは、売上高を製品カテゴリごとに分類したものだ。青い部分はビジネス向けの製品やサービスから得た売上高を表しており、オレンジは消費者向け製品による売上高を表している。
中核事業であるOffice事業やWindows事業では、消費者向け製品の売上高は全体のごく一部に過ぎない
この現状は、Microsoftがこの10年強で進めてきたいくつかの大きな取り組みで、成果を挙げられなかったことも示している。同社は2017年第4四半期に、消費者向けの2つの取り組みから撤退すると公式に発表した。デジタル音楽配信事業からの撤退と、「Windows Phone」の開発中止だ。
Microsoftは21世紀に入って以来、デジタル音楽市場への参入の試みを続けてきた。しかし、この取り組みはまったくうまくいかなかった。音楽プレイヤー「Zune」はテレビのコメディ番組でもネタにされ、同社のミュージックストアやストリーミングサービスは、Xboxや「Groove」などさまざまなブランドで提供されたが、Appleの誇る「iTunes」には傷一つ負わせられなかった。Microsoftはオンラインストアから楽曲を削除し、2017年末をもってストリーミングサービス「Groove Music Pass」を終了した。
また同四半期の前半には、Windows Phoneに今後新たな機能やハードウェアを展開する予定がないことを認め、同プラットフォームから撤退した。Windows PhoneはSteve Ballmer氏が始めた最大の取り組みの1つであり、Nokiaの買収に76億ドルも掛けておきながら撤退せざるを得なかったのは、屈辱的な失敗だったと言えるだろう。
この数年の間に終了したMicrosoftの消費者向け製品には、PC全盛時代にWindows Home Premiumエディションの目玉機能だった「Windows Media Center」や、「Fitbit」の競合製品だった「Microsoft Band」などがある。