しかし、セキュリティの脆弱性がないわけではなく、セキュリティがおろそかなクラウドシステムが簡単に見つかっているのは、懸念すべきことだ。BBCの報道によると、セキュリティ研究者の1人は、クラウドサービス上にセキュリティが不十分なデータストアを2000ほど発見しており、研究者らは無防備なAWSデータバケットの所有者に、セキュリティ確保を促す注意書きを、親切心から残しているという。クラウド企業が、データバケットの保護用ツールを提供しているにもかかわらず、機密情報を保存するデータストアが閲覧可能な状態になっていたという話が、頻繁に登場する。
セキュリティに関しては、クラウドに保存されているデータに誰がアクセス可能かという問題も、未解決のままだ。米国ではこの点を巡って、法廷闘争が続いている。犯罪捜査やテロ対策に関連している場合、クラウド企業は顧客データを提出すべきだというのが、米国政府の主張だ。これは顧客データが、通常なら開示が禁じられている国外、例えば欧州連合(EU)諸国に保存されている場合も含めてだ。米国政府が勝訴すると、米国に拠点を置くクラウド企業の信頼性が打撃を受けるだろう。
次はエッジコンピューティングの出番?
しかし、テクノロジの世界で永遠に続くものなどないことにも、留意する必要がある。企業は1970年代に、メインフレームの利用時間をレンタルしていたが、クラウドはそのビジネスモデルを大規模に展開しているにすぎないという見方もできる。
そしてクラウドがしっかりと定着した今、その地位を揺るがす何かが登場するのは必至だろう。とりわけIoT(モノのインターネット)サービスなどでは、そうした巨大なデータセンターからネットワークに処理能力を取り戻す「エッジコンピューティング」の台頭が 話題になっている。
データのクラウド移行は、多くの企業にとって柔軟性を高めるばかりか、コスト削減にも役立つかもしれない。クラウドは特に信頼性と拡張性という点で、多数のユーザーに恩恵を与えるが、どのようなテクノロジにもリスクが付随することを肝に銘じ、必要な対策を講じる必要がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。