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課題解決のためのUI/UX

モチベーションを考える--課題解決のためのUI/UX - (page 2)

綾塚祐二

2018-03-22 07:30

「使おうとしやすさ」

 行動することに対するハードルの高さを下げるには、まず「その行動を始める」ことに対するハードル、コストを下げることである。例えば、棚の奥にしまわれた器具は、リビングに置かれている器具と較べて、それを使って何かをし始めるまでの手間も時間も多く掛かる。

 アプリケーションやサービスでも、いろいろとセットアップしたりユーザー登録したり、何度も認証を行なったりしないと使い始められないようなものは、行動を始めるためのハードルが高い、と言える。

 明治大学の渡邊恵太准教授は、こうした「行動の始めやすさ」を、「使おうとしやすさ」「アプローチャビリティ」と呼んでいる。

 ユーザーの暮らしや仕事の流れの中で、ある行動に対するモチベーションが生じたときに、そこからそれが実行されるまでにいかに中断や阻害要因が入らないようにするか、やむを得ない手続きなどに関しては、それがモチベーションを阻害しないようにいかに配慮するか、そうしたことがUXや UIのデザインには求められる。

 新しいウェブサービスなどで、メールアドレスを登録しないとサンプルすら見られない、というようなものもあるが、それだけでもモチベーションを阻害するには充分である。

 「入り口の時点で手間を掛けさせることで、(そこを通過したユーザーの) 離脱率などを下げられるのでは」という考え方をする人もいるかもしれない。しかし、それはユーザーが入り口で掛けたコストに対する埋没費用 (サンクコスト)効果に期待するようなものであり、ユーザーに良いUXをもたらすものとは言い難い。場合によってはダークパターンに近いものにもなりうる。

 それよりも、その先にあるものが明示されていたり、意図に合わないものであった場合などの (完全な) 取り消しが容易であったりするほうがユーザーにとって良いものとなる。さらに、エラーやミスなどへの対応がスムーズであったり、理不尽な状況に陥りにくいなど、システムが「安心して使える」ということの方が、よいUXをもたらし、モチベーションの低下も防ぐことにつながる。

ゲームに学ぶ

 (エンターテイメント的な) ゲームの要素を取り入れることで、タスクなどに対するモチベーションを上げようとする「ゲーミフィケーション」という考え方もある。ゲーミフィケーションの考え方がそのまま適用できる・適用すべきである場面はある程度限られるが、ゲームやゲームの要素というのは、UXを考える上で積極的に参考にすべきものである。

 市販されているようなゲームを設計するには、遊んでもらうため、そしてなるべく熱中し、継続してプレイしてもらうために、さまざまな要素(ルール、操作性、演出など) を駆使しなくてはならない。

 コンピュータゲームに限っても、その開発の歴史は既に長く、設計のための数々のノウハウが蓄えられており、よくできたゲームからは、ユーザー (プレーヤー) のモチベーションの維持や向上のための手法を多く学べる。

 特に、操作の仕方やルールなどの説明をどの段階でどのように行うか、間違った操作などに対してどうシステムが反応するかなどは参考になる部分が多いだろう。

 ゲーム途中で、プレイの流れをあまり妨げすに自然にユーザーに理解させるような説明・提示の仕方は、時として芸術的ですらある。

 もちろん、エンターテイメントという文脈だからこそ使える・使っていいやり方などもあるので、そこは注意深く考察し、使う場面に応じたデザインをせねばならない。

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