コンシューマーが関与するシナリオでの共同作業支援
KPMGのデータおよび分析チームは、ドイツのフランクフルトにある同社のInsights Centerにおいて、Fortune 500に名を連ねる顧客企業の幹部たちにビジュアルなかたちでデータを提示するためにHoloLensを活用している。
3Dでの可視化によってデータを多元的かつ理解しやすいかたちで提示できるうえ、参加者全員が同時にその情報を眺められるようになる。このHoloLensシステムは、2018年中に香港やロンドン、パリ、ニューヨークのInsights Centerにも配備される予定だ。
共同作業の支援は、コンシューマーが関与するシナリオでも重要であり、孤立した環境を作り出す仮想現実(VR)ヘッドセットよりもHoloLensの方が優れた力を発揮する。
Forrester Researchの主席アナリストJ. P. Gownder氏は、「キッチンのデザインはもちろんVRでも可能だが、同時に販売員とやり取りすることはできない。顧客と販売員は積極的にやり取りし、デザインを決めていく必要があるのだ」と述べた。
相談相手が店内にいるというだけでなく、目に見えている場合、やり取りはずっとスムーズになる。
「現実の空間を共有する複数の人たちとの対話性が必要となる場合、3Dの可視化はVRでも可能だが、MRの方が望ましい。また、共同作業には社会的なやり取りが必要であると考えられている点でも、MRの方が望ましいと言えるだろう」(Gownder氏)
この種の3Dデザイン/設計システムの課題は、表示対象のすべてのパーツやコンポーネントを3D資産化するというところにある。Gownder氏は、ある家具のオンライン販売店に言及している。その店では数万点もの商品を扱っているが、高品質な3D設計データはそのうちの1万5000点程度にしか用意されていないという。
既にCADシステムを用いて3D設計を実施している建築家やエンジニアは、これらの資産をMRやVRでの広告に再利用できるという点で一歩先んじていると言える。設計完了段階の物件を販売する高級マンション開発業者のなかには、既に3Dによるウォークスルーを活用しているところもある。