「需給最適化によって“食品ロス・廃棄”を削減したい」
(NEC 中田平将 理事)
NECの中田平将 理事
NECと日本気象協会が先頃、多様な業種・業界における製造、卸・物流、販売のバリューチェーン全体で需給を最適化するビジネスに関して協業することを発表した。NECエンタープライズビジネスユニットの理事を務める中田氏の冒頭の発言は、その発表会見で、今回の取り組みの目的を明示したものである。
今回の取り組みに伴い、NECではデータ流通基盤「需給最適化プラットフォーム」を、同社のIoTプラットフォーム「NEC the WISE IoT Platform」上に構築し、2018年7月から提供開始する。
第1弾の取り組みとして、そのデータ流通基盤を「食のバリューチェーン」に適用。NECの人工知能(AI)技術群「NEC the WISE」を活用した需要予測結果や在庫情報、販売実績をユーザー企業と共有することで、個々の企業だけでなくバリューチェーン全体の需給を最適化し、社会課題である「食品ロス・廃棄」の解決に貢献するとしている。
需給最適化プラットフォームは、さまざまなデータ事業者から提供される情報や、バリューチェーンを構成する企業のデータを相互活用し、これまで企業ごとに行っていた需要予測精度の向上を実現。これにより、「製造」企業の在庫・生産の適正化や、「卸・物流」企業の在庫の最適化、リソースの効率化、「販売」企業の発注の適正化など、食のバリューチェーン全体の最適化を図る構えだ。(図参照)
図:需給最適化プラットフォームの概要
さらに詳細な会見内容については関連記事をご覧いただくとして、中田氏の説明を聞いていて筆者の頭に浮かんできたのは、NECが先頃発表した新中期経営計画(新中計)の中で、「NECのAIやIoTの技術基盤を活用した共通業務プラットフォームを整備し、それを基に“サービス型ビジネス”を展開する」と明示していたことだ。
NECが今回発表した取り組みは、このサービス型ビジネスの実践のように見て取れる。そこで、会見の質疑応答で中田氏に確認してみると、「その通り。今回の取り組みはサービス型ビジネスの第1弾だ」とのこと。今後、さまざまな業種に向けた展開が始まるようだ。サービス型ビジネスという観点で、まずは今回の取り組みを注視しておきたい。