Linuxとオープンソースソフトウェアは現在、ITの世界に君臨している。では、25年前はどうだっただろうか?Linuxはギークしか知らない、アマチュアが使うOSにすぎなかった。そのような状況からここまで飛躍的に進化を遂げたのは、趣味のOSをITの武器へと変身させたRed Hatの功績もある。
Red Hatの共同創業者であるBob Young氏は、タイプライターのレンタル事業を営んでいたが、Linuxに興味を抱き、「Slackware」ディストリビューションのCDやオープンソースソフトウェアを対象とするカタログ販売会社としてACC Corporationを1993年に立ち上げた。
Young氏が「『Solaris』はLinuxよりもはるかに優れていたが、ユーザーのニーズに合わせて手を加えられるOSとしてはLinuxしかなかった」と回想しているように、当時は皆がそのように考えていた。Young氏は、当時のLinuxでは、UNIXよりも優れた、あるいは高速で機能も豊富なOSとして売り込むことはできないと気付いていた。しかし同氏は、ユーザーが自らのニーズに合わせてカスタマイズできるというメリットにも気付いていた。これは重要なセールスポイントであると証明され、その重要性は現在も変わっていない。
Young氏はLinux開発者であるMarc Ewing氏と手を組み、Young氏の妻の裁縫用品収納スペースを拠点として「Red Hat Linux」をローンチした。黎明期における他のLinux事業と同様、Red Hatはフロッピーディスクでの販売から出発し、その後サーバやサービス、CDへと展開していった。
そしてこのほど、Young氏は3月27日のインタビューで「この話で私が気に入っているのは、Stallman氏やTorvalds氏を含む、自由ソフトウェアやオープンソースのコミュニティーから素晴らしい貢献者が現れたという点だ。そしてMarcや私、われわれのチームメンバーに手を貸してくれ、そうした助力はMatthew Szulik氏の時代を通じ、現在のJim(Whitehurst氏)と彼の大規模なチームの時代に至るまで続いている。ソフトウェアの開発/配備方法を根底から変革するという偉業は、こういった人々の協力なくしては不可能だった」と語った。
またYoung氏は、「インターネット関連のソフトウェア開発者である、私の義理の息子によると、彼と彼の同僚たちは、Red Hatが貢献するとともに、利益を得てきたすべての自由ソフトウェアやオープンソフトウェアなくして、自らの仕事を遂行できなかったという」と続けた。同氏は最後に、「また、私の家族についても述べておきたい。子どもの大学進学費を賭け、今までに無かったモデルに基づくソフトウェアビジネスを構築するという計画に妻のナンシーが同意してくれていなければ、あのような貢献はできなかっはずだ」と述べた。
このモデルによってRed Hatは、今後数年のうちに純粋なオープンソース企業として初めて、四半期の売上高が10億ドルを超える企業になると考えられている。