本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本ヒューレット・パッカードの吉田仁志 代表取締役 社長執行役員と、Dropbox Japanの上原正太郎 ジャパンマーティングリードの発言を紹介する。
「HPEのDNAにはイノベーションが埋め込まれている」
(日本ヒューレット・パッカード 吉田仁志 代表取締役 社長執行役員)
日本ヒューレット・パッカードの吉田仁志 代表取締役 社長執行役員
米Hewlett Packard Enterprise(HPE)の日本法人である日本ヒューレット・パッカードが先頃、記者およびアナリスト向けに事業概況の説明と懇談会を開いた。吉田氏の冒頭の発言は、事業概況の説明の場で、自らのイノベーションへの強い思いを語ったものである。
吉田氏はまず、HPEが先頃発表した2018年度第1四半期(2017年11月〜2018年1月)の業績に触れ、売上高の伸びが全体で前年同期比11%増だった中で、日本を含むアジア太平洋地域(APJ)は同20%増の高い伸びを記録することができたと強調した。ちなみに、全体におけるAPJの売上高構成比は24%。構成比39%の米国地域の伸びは同3%増、37%の欧州・中東・アフリカ地域(EMEA)は同15%増だった。
また、事業戦略については、「ハイブリッドITのシンプル化」「インテリジェントエッジの増強」「専門知識に基づくサービスの展開」の3つに注力すると説明。中でも「われわれは早くからオンプレミスとクラウドによるハイブリッドIT環境が主流になると主張してきたが、まさしくその通りになりつつある」とのコメントが印象的だった。
そして、冒頭の発言にある「イノベーション」については、HPEが手掛けている革新的な製品・サービスとして下図のように8つをピックアップした。
吉田氏の一言を盛り込んでその8つを紹介すると、業界で最もセキュアなIAサーバ「Gen 10」、セキュアなエッジを実現する「Aruba secure fabric」、先進ストレージの「All Flash」、オンプレミス環境で従量課金型のITインフラサービスを提供する「HPE Greenlake」、マルチクラウドとオンプレミスの環境を一元管理できる「HPE OneSphere」、可用性の高いミッションクリティカルサーバ「Superdome Flex」、画期的なメモリ主導型のアーキテクチャでコンピューティングの未来を変える「The Machine」、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)の先を行くコンポーザルインフラストラクチャプラットフォーム「Synergy」である。
中でもThe Machineについて吉田氏は、「2020年の実現に向けて開発を進めているが、その要素技術はSuperdome FlexやSynergy、Gen 10などにも順次盛り込んでいく。こうした取り組みによって、HPEはこれまでと同様、これからもIT業界をリードし続ける」と強調した。HPEは今後、何に注力するのか、との疑問に対して、同氏の説明は非常に明快だった。
HPEが手掛けている革新的な製品・サービス