ランサムウェア

ランサムウェアの脅威は健在、手口が巧妙化した新種も--Malwarebytes

Danny Palmer (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2018-04-10 12:06

 最近まで、サイバー犯罪の攻撃手法として最も注目を集めていたランサムウェアが、急速に勢力の衰えを見せている。膨大な損害をもたらした主要なランサムウェアファミリがすっかりと鳴りを潜め、代わりに登場したランサムウェアは犯罪者が期待するほどの成功を収めていないからだ。

 「WannaCry」や「NotPetya」などの登場が話題を集めて、ランサムウェアが猛威を振るった2017年と比べると対照的である。

 WannaCryに匹敵するほどの悪評を得てはいないが、「Locky」「Cerber」「Jaff」のランサムウェアファミリも感染や拡散の手口を巧妙化させて、密やかに攻撃を続けていた。Cerberにいたっては、仮想通貨を狙うことができるまでに進化した。

 しかし、Malwarebytesがサイバー犯罪の戦術やテクニックについて調査した第1四半期の報告書によると、以前は強力なランサムウェアとして名をはせたLockyとCerberは現在、脅威の対象としては姿を消しているという。

 研究者らは、企業を狙ったランサムウェア攻撃が若干増えているものの、消費者に対する攻撃は急速に減少していると述べた。ランサムウェアが死滅したわけではなく、その戦術が変わりつつあり、報告書は「衛兵交代」が進んでいると説明した。

 新たに登場したランサムウェアで最も効果的な攻撃の1つに「GandCrab」がある。2つのエクスプロイトキットによって拡散し、ビットコインではなく仮想通貨の「Dash」を要求する。

 また「SamSam」は、特定の形式のランサムウェアが今も非常に有効であることを実証しているという点で、興味深い事例である。SamSamの背後にいる攻撃者は、大規模な組織を狙って一儲けするために、綿密な計画を練って攻撃を仕掛けているとされる。

 インディアナ州の病院とアトランタ市が最近、SamSamの攻撃を受けており、ランサムウェアが依然としてどれだけ効果を発揮できるか示している。

 報告書は、大規模な組織を狙ったこうした攻撃は、ランサムウェアを仕掛ける犯罪者が、これから進む道筋になるかもしれないと述べている。しかし、この種の脅威に深く関わっている犯罪者が、身代金を得ることができたとしても、突然風向きが変わらない限り、ランサムウェアが以前ほど広範囲にわたって拡散される可能性は低いとしている。

 2018年を通じて多くの人が見ているように、ランサムウェア攻撃の減少は、仮想通貨のマイニングが勢力を増してきたタイミングと一致しているようだ。サイバー犯罪者が利益を得ることに成功している仮想通貨のマイニングは、攻撃対象者の手を借りる必要がない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  2. 運用管理

    IDCレポートが明かす、AI時代において「プライベートAIインフラ」が企業競争力に果たす役割と効果

  3. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  4. ビジネスアプリケーション

    新規アポ率が従来の20倍になった、中小企業のDX奮闘記--ツール活用と効率化がカギ

  5. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]