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働き方をPC操作から診断するサザンウィッシュのMeeCap

田中克己

2018-05-09 07:00

 残業をなくすなど働き方改革に取り組む企業が増えている。だが、「早く帰れ」と上司が部下に言っても、根本的な問題が解決できるはずはない。従業員1人ひとりの働き方は異なり、実態をとらえるには時間がある。組織によっても働き方が異なる。そうした中で、パソコンの操作から実態をつかめる仕組みが登場した。金融機関向けアプリ開発会社のサザンウィッシュが開発したパソコン操作内容可視化ソフトMeeCapだ。

 MeeCapは、日々のパソコン操作から長時間残業や労働力不足、生産性といった課題を可視化し、非効率な業務の改善や社内リソースの配置、最適なシステム化などに使うもの。例えば、個人の日別、時間帯別の作業量を集計し、他の従業員と比べたり、メールや交通費精算、日報作成、必要なファイルを探すなど、日々の非効率な業務をピックアップし、改善すべき業務量を把握したりする。個人や組織が残業時間にどんな業務をしているか、その原因が会議や打ち合わせが多すぎる、外出が多く帰社後にしか業務処理ができない、などと分かれば、対象業務を改善する。誰の操作が最も効率的なのか、生産性が高いのかなどを分析できる。

 具体的には、誰がどのアプリやファイルをいつ使ったのか、キーボードやクリックをどんな時に操作したのか、といった作業履歴を記録する。勤務中のパソコン使用時間、基幹系システムやExcel、Word、業務システムなどアプリ別使用時間。基幹系システムの使用頻度の高い機能なども分かる。ほとんど使われていない業務アプリやソフトを見つけて、無駄なライセンス料の支払いをなくす。

 コピー・アンド・ペーストの多い作業を発見したら、RPAなどによる自動化を図る。そこから、業務プロセスの自動化、高度化をしたり、効率的な方法を広める教育をしたりする。しかも、働き方改革に精通するフリーのコンサルタントなどに依頼し、分析結果から改善提案を求めることも可能になるという。

 サザンウィッシュは2015年4月、鹿児島銀行と野村総合研究所、アプリ開発のイオビンらの出資で設立した。イオビンの徳留健朗社長が社長を兼務し、金融の新しい商品、ソリューション作りに取り組んでいる。その中で、生み出したのがMeeCapだという。「個人や組織の働き方の実態をデータに基づいて科学的に分析するので、説得力がある」(徳留社長)。アンケートや面談によって、働き方をとらえる従来方法に比べて、正確に早く実態をつかめるという。さらに、スマートフォン版も用意する計画。米グーグル出身者のエンジニアが開発するものを、協業の形で相互に取り扱うことになるという。

 同社は先行導入した鹿児島銀行などにおける効果が見えてきたことで、働き方改革を実現する診断ツールとして、パソコン1台あたり年間利用料5万円で本格的に販売を開始したところ。鹿児島銀行が2017年12月に発表したMeeCapの導入目的によると、パソコンの操作履歴を蓄積し、効率的な操作や業務の流れを可視化し分析することで、働き方改革実現へ向けた生産性の向上を図れるとする。これらのデータを蓄積し、熟練者のノウハウやスキルの伝授にも活用する。サザンウィッシュによると、収益管理や融資などへと導入部署を拡大ししているという。こうした事例を増やす。

田中 克己
IT産業ジャーナリスト
日経BP社で日経コンピュータ副編集長、日経ウォッチャーIBM版編集長、日経システムプロバイダ編集長などを歴任し、2010年1月からフリーのITジャーナリストに。2004年度から2009年度まで専修大学兼任講師(情報産業)。12年10月からITビジネス研究会代表幹事も務める。35年にわたりIT産業の動向をウォッチし、主な著書に「IT産業崩壊の危機」「IT産業再生の針路」(日経BP社)、「ニッポンのIT企業」(ITmedia、電子書籍)、「2020年 ITがひろげる未来の可能性」(日経BPコンサルティング、監修)がある。

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