米Intelは5月17日、都内でデータセンター事業に関するメディア向けの説明を行い、FPGAでの富士通との新たな協業やメモリ技術への取り組みなどについて紹介した。
先進国を中心とした近年のPC需要の停滞などを背景に、Intelは大規模な事業構造の転換を進める。4月26日に発表した2018年第1四半期業績は、売上が前年同期比13%増の約161億ドルで、内訳ではPCを中心とする従来の領域が3%増なのに対し、データセンター関連事業は25%増となった。今回の説明会は、こうした同社の事業構造の変化を示す狙いもあったようだ。
Intelの2018年第1四半期決算のトピックス
Intel データセンターグループ Intel Xeonプロダクツおよびデータセンターマーケティング担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのLisa Spelman氏
説明に立ったデータセンターグループ Intel Xeonプロダクツおよびデータセンターマーケティング担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのLisa Spelman氏は、データセンター事業が過去最高となる全売上の半分を占めるまでに成長し、かつてのPCを中心とする事業構造からの脱却が着実に進んでいると強調した。
データセンターグループとしての同四半期の業績は、売上が同24%増の52億ドル、営業利益が同75%増の26億ドルだった。収益面では、データセンター投資を強化し続けるクラウドサービスプロバイダー向けビジネスの45%増を筆頭に、5Gインフラの整備に乗り出す通信事業者向けのビジネスも33%増加した。こうした成長の背景は、主に企業システムのクラウド移行需要の高まりといい、Xeon Scalableプロセッサを中心とするビジネスがけん引している。
しかしSpelman氏は、データセンター事業の次なる成長要因に人工知能(AI)やデータアナリティクスを挙げ、説明会ではこうした領域におけるFPGA(Field Programmable Gate Array)やメモリ技術を中心に、同社の取り組みを紹介した。
まずFPGAでは、同社は「ARRIA」や「STRATIX」プロセッサを投入しており、Spelman氏はXeonシリーズが汎用向けなのに対し、ARRIAやSTRATIXは多用途アルゴリズムのワークロードに最適化したプロセッサとの位置付けを説明。2015年に買収したAlteraの技術が成長に大きく貢献しているとした。
最新の取り組みとしては同日、富士通との協業拡大を発表。ARRIA 10 FPGAを統合したXeon Scalableプロセッサを富士通のPRIMAGYサーバに搭載して、富士通が展開する。Spelman氏によれば、これによってスループットの3.2%の向上による低遅延化とホスト可能な仮想マシンの規模を2倍に拡大できる効果が期待される。ARRIA 10 FPGAが主に仮想スイッチング処理の部分を担うことで、Xeon Scalableプロセッサのキャパシティを有効活用できるようにすることで、サーバ全体の処理能力をさらに引き上げるとしている。
FPGAにおける富士通との新たな協業の内容
メモリ技術では、2015年から取り組む「3D Xpointテクノロジ」を中核に、「Intel Optane SSD」の展開拡大と、2017年11月に発表した次世代の「Intel Persistence Memory」の一般提供が直近のトピックスとなる。
Intel Optane SSDは、最大40倍の低遅延化や同60倍のQOSなどを実現しており、「ウォームデータ」と呼ばれる中間処理データの効率的な利用を支援する。3D XpointテクノロジによってSSD容量の倍増やストレージ消費電力の45%削減といった効果がもたらされているとし、現在はIntel Optane SSDのサードパーティーエコシステムの拡大を図っている。
一方のIntel Persistence Memoryは、コンピューティングアーキテクチャをこれまでのDRAMベースから不揮発性メモリベースに大きく変革する技術として注目され、低コスト化や低消費電力化といった効果をもたらすとされる。
Spelman氏は、Intel Persistent Memoryの一般提供を2018年中に開始するとし、現在はこれに向けてSAPやMicrosoft、VMwareといったパートナーとともに、不揮発性メモリを活用するアプリケーションからインフラまでのエコシステムによる取り組みを加速させていると語った。Intel Persistent Memoryは、次世代Xeon Scalableプロセッサ(開発コードネーム:CascadeLike)の出荷と同時期のリリースになる見込みだという。
インテルパーシスタントメモリは2018年中のリリースを予定する